「二重床」「二重天井」は必要最低条件-2

今回は前回「二重床」「二重天井」が「必要最低条件」であると申し上げた理由を設計者の立場で判り易く御説明致します。

まず,「二重床」が「直床」(じかゆか)よりも優れている事の御説明から始めます。

結論を先に申し上げますと「遮音性能」が良い事です。
上階の音が伝わりにくく下階では聞えにくいのです。

床の「遮音性能」には「重量衝撃音遮音性能」「軽量衝撃音遮音性能」の2つが有ります。
前者を「LH」と表示し後者を「LL」と表示しています。
この「LH」や「LL」の後に来る数字が少ない方が遮音性能は高いのです。

例えば「LH-55」より「LH-50」の方が「重量衝撃音遮音性能」が良いのです。
「LL」も「LL-45」より「LL-40」の方が「軽量衝撃音遮音性能」が優れているのです。

さてここで「重量衝撃音」とは具体的にどの様な音かを説明致します。
「重量衝撃音」とは重い物を「ドシン」と置いた時の音や,小さな子供が飛び跳ねたりした時に発生する音で「低音」です。

「軽量衝撃音」とはスプーンを落とした時の「コーン」という音や,椅子等を引きずる時に発生する音で「中高音」です。

「直床」ですと「二重床」に比べてこの「重量衝撃音遮音性能」と「軽量衝撃音遮音性能」が劣るのです。

これに関しては逆の事を言っている先生もいらっしゃいますが,私は実体験を致しましたのでお話致します。

今から10数年前にある会社(二重床メーカーでは無い)が川口で分譲マンションの同じ縦列の2住戸を購入して,我々建築家に上下階の音の伝わり方の実験をして「二重床」の方が「直床」より上階の音があまり聞えない事を実証してくれました。

上階の3LDKの住戸の仕様は標準が「直床」でしたが1部屋だけ「二重床」に改築して
「直床」の部屋と「二重床」の部屋でスプーンを落としたり,椅子をひきずったり,また車のタイヤを落としたりころがして下階の同じタイプの住戸への音の伝わり方を実証したのです。

その結果,「二重床」の方が「直床」に比べて「軽量衝撃音」も「重量衝撃音」も私の耳では伝わってくる音がかなり小さく聞え「遮音性能」に優れている事を体験致しました。

この様な実験が実験室で行なわれる事が良くありますが,私は実験室での体験や計測値はあまり信用していません。

その時の実験は実際に建って入居しているマンションの上下2住戸で行い自分の耳で体験したものですから私自身は納得しています。計測値より耳で実際に聞いて比較したのですから確かです。

「二重床」の方が「直床」よりも「遮音性能」が高い事を実際のマンションで実験できた事は貴重な体験だと思っています。

ですので私は自信を持って「直床」より「二重床」の方が「遮音性能」が良いと申し上げられるのです。

更に「二重床」が「直床」よりも優れている事はもう一つ有りますので次回にお話致します。

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