中和室のエアコン設置可に要注意

7月中旬に入り「内覧会」シーズンになってきました。
毎年,7月中旬から8月末位までは「内覧会」同行依頼が増えてきます。

さて,今回は先日行なった「内覧会」同行チェックで見つけた理解に苦しむ工事のお話を致しましょう。

そのマンションは総戸数が30戸弱で小規模な物件でした。また,私が耳にした事も無い中堅の売主であり,その売主の会社が設計も行っていましたので興味深々で「内覧会」会場に行きました。

依頼者と現場(内覧会会場)に着きましたら,簡単な受付を済ませ直ぐに工事を行ったゼネコンの方と一緒に依頼者の住戸に向かいました。

いつもの手順でまず「メーターボックス」からチェックを行いましたら,内部はとても良く出来ていて,ゴミ1つも有りませんでした。私の持論ですが「メーターボックス」の中が良いと住戸内の仕上がりも良いので期待して住戸内に入りました。

住戸内に入りいつもの手順で,依頼者には「傷と汚れ」のチェックを御願いし,私は建築上の納まりや設備上の納まりを入念にチェック致しました。

住戸内の水平,垂直の誤差も許容範囲でしたし,壁紙の貼り方もとても上手に貼って有りました。特に壁紙のジョイント(壁紙同士のつなぎ目)部分も分らないくらい上手に貼ってありました。

内装部分の納まりや仕上げはとても良い物件でした。

処が,中和室がエアコン設置可能という事で和室のクーラースリーブ(エアコンの冷媒管やドレイン管を通す穴)のキャップを外して穴の中を見ましたら「唖然」と致しました。

なんと,クーラースリーブの穴の下半分が間仕切り壁の骨格であるLGS(軽量鉄骨)の胴縁(間柱と間柱に渡す横架材)で塞がれていました。

その穴から見ますと先行配管されている冷媒管は見えましたがドレイン管(エアコンで除湿された水を排水する管)を接続する竪排水管が見えませんでした。

すかさず私は「設計者である売主は竣工検査しましたか?」と聞きましたら,同行されたゼネコンの方は無言でしたので「ゼネコンさんの設備担当者とこの現場の所長さんにこの住戸へ来てもらって下さい。」と御願い致しました。

5分後くらいに設備担当者が来ましたのでエアコンドレイン接続用の竪排水管がどこに有るかを質問いたしました。

そう質問しましたら,クーラースリーブ穴の空いている間仕切壁の裏側が居間の下がり天井でそこに小さな人間の頭がやっと入る点検口が有りそれを開いて設備担当者が頭を入れ「これがドレイン用の竪排水管です。」と言われました。

私も早速,点検口に頭を入れて竪排水管を見ましたらまた「唖然」と致しました。なんとクーラースリーブ穴の上方に竪排水管から分岐してエアコンドレイン管の差込口が有ったのです。

何故「唖然」としたかと申しますと家庭用のエアコンでは除湿された水はポンプで強制排水ではなく,地球の引力で流れ落ちるからなのでドレイン管接続位置がスリーブ穴より上に有ると逆の排水勾配になって流れないからなのです。

和室側のスリーブ穴の10センチ程度上に有りました。それを見て私は「エアコンのドレイン管をここに接続すると逆勾配になって水漏れを起こす危険が有るので接続管を下げて下さい。」と御願い致しました。返ってきた回答は「胴縁の上でカットします。」です。胴縁上端でもドレイン管を接続すれば逆勾配になって漏水の恐れが有ります。

もう呆れて「現場所長さんを至急呼んで下さい」とお願いしてその住戸に来て頂き事の顛末を説明致しました。

現場所長さんもスリーブ穴やドレイン管接続口位置を見て私に「胴縁の位置を変更しないと駄目ですね。」と言いました。

当然の回答です。胴縁がスリーブ穴の下半分を塞いでいますしその胴縁の位置が悪い故にドレイン管接続口がスリーブ穴より上方になってしまったのですから…。

結局,私はエアコンスリーブ穴の有る壁を剥がして胴縁の位置変更とドレイン管接続口の高さ修正工事を御願い致しまして,更に改修工事の写真撮影も頼みました。

中和室や中洋室のエアコン設置可能にするのはたいした工事ではないですが,建築工事と設備工事の施工図を建築,設備双方で良くみておかないで工事をした結果だと思います。

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