エレベーター事故への見解

今回はマンションのエレベーターで悲惨な事故が起きましたので私の見解を申し上げます。

新聞やテレビ報道を見ていますと,エレベーターの頭脳で有るコンピューター制御のプログラムミスが原因だと書かれていました。

しかし,人身事故を起こしたエレベーターのコンピューター制御回路は新しいものに交換されていたにもかかわらずに事故をおこしましたので再度コンピューター制御回路を見直して欲しいものです。

今回の事故では「フェイルセーフ」(事故防御回路や装置)が機能しなかったのではないかと推測致します。

「フェイルセーフ」とは簡単に説明致しますと,故障や操作ミス,設計上の不具合などの障害が発生することを事前に想定し,起きた際の被害を最小限にとどめる工夫をしておき,どこにトラブルが出ても他の部分でカバーして全体の機能に影響がでない仕組みをいう事だそうです。

日本には大手エレベーターメーカーは5社有ります。

マンションに設置されているエレベーターはほとんど「三菱エレベーター」「日立エレベーター」「東芝エレベーター」の3社が寡占しております。

あとの2社は「日本オーチスエレベーター」(松下系),「フジテック」ですが日本ではマンションにはあまり多く使われてはいないと思われます。

恥ずかしながら建築設計を30年以上も仕事にしてきた私は今回の事件で初めて「シンドラーエレベーター」なる会社の存在を知りました。

マンションの設計をしていますと,ほとんどの事業主からエレベーターのメーカー指定が有りますので,エレベーター用の図面は指定メーカーと打ち合わせをして作成してもらっているのが現状です。いままで,設計で採用したマンションのエレベーターはほとんど事業主指定の上記3社でしたので「シンドラーエレベーター」という会社の名前も知りませんでした。

我々,建築設計者は日本製の建築関係の工業製品の「当たり外れ」の確率は3PPM(3/100万)と言い,海外の建築関係の工業製品の「当たり外れ」の確率は3%(3/100)と陰で言っています。

建築設計者が海外の建築材料をなるべく使わない理由はこの「当たり外れ」の確率の高さです。

私も以前,マンション設計で事業主から「便器」を海外のあるメーカーを指定され止む無く採用致しましたが,竣工後半年で全住戸の1割強の便器配管接続部分から水漏れを起こし大変な目にあいました。

この便器の配管接続の方法が日本製の物と異なったので設備業者さんも工事に気を遣い,設計側の監理者も厳しく検査したのですが結局は上記の様な結果になり散々な目に遭い,それ以降は海外の工業製品はほとんど採用しない様に設計者として自己防衛をしています。

話は元に戻りますが,エレベーターは1年に1回定期点検をして最寄りの役所に届ける義務があります。今回の事故ではこの法律も機能していなかった様に思われます。

私はエレベーターの点検整備は多少価格が高くても,設置されているエレベーターのメーカー系列のメンテナンス会社を採用する事をお薦め致します。

独立系のエレベーターメンテナンス会社は結構ありますが,エレベーターに問題がおきたり,「リコール」部品が生じた時の対応や原因究明はメーカー系のエレベーターメンテナンス会社の方が早く的確に行えるのではないかと思えます。

エレベーターは人命にかかわる工業製品ですから「フェイルセーフ」(事故防御回路や装置)が120%の効果を発揮して事故を未然に防ぐ様メーカーやメンテナンスを行う方々に御願いしたいと思います。

さて,ここでこのコラムを見て頂いている方にお知らせ致します。

■7月23日(日)午後1時より「住宅金融公庫」で私が『良いマンション 悪いマンションの見分け方!2006~プロが教えるマンション選びのポイント~』というセミナー(無料)を行います。参加を御希望される方は下記URLよりお申込み下さい。

http://www.flat35.com/seminar/seminar_tokyo_060723.html

皆様の御参加をお待ちしております。

連載コラム

特集

もっと見る