合法だが疑問を持つ構造

「姉歯」事件以降「現地同行」チェックでは設計図書の中の構造図をかなり綿密に精査する様に致しました。

私が一級建築士の免許を取得したのは約30年以上昔です。私は「意匠設計」が専門で「構造設計」の知識は一級建築士の受験勉強の為に「構造力学」を少し勉強したのと,大学の建築学科で「構造力学」の初歩を勉強した程度です。

今回の事件が発生してから友人の「建築構造設計者」や大手設計事務所の建築構造設計部長に会い色々な事を教えてもらいました。

改めて新しい建築構造専門書も買い読みましたが,わかりにくく読み終わっても「イマイチ」でしたが何とか理解できました。

一番分かりやすかったのは素人さん向けの「耐震偽装」(日本経済新聞社)という本で細野透氏(元日経アーキテクチュア編集長)が書かれたものでした。

私はこの30年強,「意匠設計」が専門でしたが一応設計した建物各に「構造図」は見てチェックを入れていました。その経験で若干,他の「意匠設計者」の方よりは「危ない構造」かどうかは判断できるのではないかと自負しております。

このコラムの57号でも構造に関してお話致しましたが今回の件は建物の骨格である柱の中に縦に通っている鉄筋の太さに関するお話です。

さて先日,「現地同行」チェックで構造的にかなり疑問有る物件に遭遇いたしました内容をお話いたします。

大手ディベロッパーが売主で超大手建設会社の設計・施工物件でした。

まず,マンションが建つ現地に行き周辺環境を調査して立地や方位は合格でした。
現地から販売事務所・モデルルームに行きそこで設計図書一式を見せてもらいました。

私の約100項目有る「チェックリスト」に基づき「意匠図」「構造図」「電気設備図」「給排水衛生設備図」「空調換気設備図」を各々チェック致しました。

「構造図」を開いて見ていくうちに唖然と致しました。その建物は14階建で「鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)」ではなく「鉄筋コンクリート造(RC造)」でしたが「柱」に入っている主筋(縦に入っている重要な鉄筋)の一部があまりにも細かったのです。

早速,販売員の居ない所で携帯電話で友人の「構造設計者」に建物概要を話し,柱の鉄筋の太さを言って判断を仰ぎました。友人の答えは「ある構造計算方式を使って行うとこの様な細い鉄筋を柱の主筋の一部に使っても合法であるが,地震時にはかなり危ないと思う。」でした。

全てのチェックを終え販売事務所を出てから,私はその事を「現地同行」依頼者に報告致しました。

その物件の仕様,性能や設備等は高得点でしたが,建物の骨格である構造が脆弱なので「現地同行」依頼者は即座に「この物件は見送ります。」と私に言われました。

大手ディベロッパー物件でも最近この様なケースが有りますのでマンション購入を検討している方は充分注意して下さい。

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