構造費用を安くしている見分け方。

この処,マンション購入予定者が建物の構造に非常に関心を持たれていますので今回は構造についてお話いたします。

「姉歯」の様に建築基準法を逸脱しているのを確認するのは前回の56号で書きましたのでそちらを見て下さい。

今回は建築基準法を遵守しているが構造なんて素人には判らないので安く作っている物件の見分け方を御教えいたします。但し高さ60m以内(18階位)のマンションで適用できます。

まず,外壁が全て鉄筋コンクリート壁で中に入っている鉄筋が2列(ダブル配筋)になっているかどうかです。

よく「メインパンフレット」の中に外壁の断面の絵が描いて有り鉄筋コンクリート壁ダブル配筋と書いてあり「一部除く」と書いて有るものがあります。この「一部除く」が問題です。

先日見ました物件がその様に書いてありましたので,早速構造図を見ましたら唖然でした。
なんと,建物両端の妻側のバルコニーが無い外壁のみ鉄筋コンクリート壁ダブル配筋で,あとの住戸外廊下側とバルコニー側の窓周りの壁は全てALC版(気泡軽量コンクリート板)でした。

このコラムの13号でも書いた様にALC版とは鉄筋では無く鉄線が入っていて,コンクリートを泡立てて軽量化した板です。厳密に言えばこの板は鉄筋コンクリートとは言えないのです。

もう一つの「一部除く」はやはりこのコラムの46号で書きました鉄筋コンクリート壁シングル配筋(一列配筋)を先程と同様に住戸の外廊下側とバルコニー側の窓周りの壁全てでした。

このコラム46号をもう一度読んで頂ければ判りますがシングル配筋(一列配筋)の鉄筋コンクリート壁はダブル配筋に比べて地震時にクラック(ひび割れ)が入り易いのです。

この二点は,明らかに「一部除く」ではなく「一部のみ」と書くべきですのでここに売主の体質が如実に出ていますから充分注意して下さい。

外壁を鉄筋コンクリートでダブル配筋にする事は「日本建築学会」の構造規準書に書いてありますが,法的規制はないので前記の様な壁にしても良いのです。

次に見て頂きたいのが住戸と住戸の間の戸境壁の仕様です。これも「メインパンフレット」の中に鉄筋コンクリート壁ダブル配筋の絵がありその下に「一部除く」と書いてあれば要注意です。その「一部除く」と表示してある戸境壁は「乾式工法」の壁になっているケースが多いのです。

「乾式工法」の壁についてはこのコラム15号に詳しく書いてありますのでそちらを御覧下さい。

外壁を「ALC版」や「鉄筋コンクリート壁シングル配筋」にしたり,戸境壁を「乾式工法壁」に致しますと,建物の重量が軽くなりますので柱や梁が細くなり構造の建築費が安くなる訳です。

マンションの「耐震性」「耐久性」「耐候性」「遮音性」等が明らかに落ちます。

これらの事は購入者にとって良い事は何も有りません。

工事費は若干安くなりますので「安物買いの銭失い」にならない様に注意して下さい。

1つ良い事はその様な構造にしているマンションの売主の体質が判断できるので今後その売主の物件は購入対象から外せます。

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