木製扉の開閉軌跡上に「 ダウンライト 」の設置はタブーでは…。

先日,11月6日に東京の神宮外苑で開かれていました「 TOKYO DESIGN WEEK 2016 」で木製のジャングルジム形状の展示作品が燃える事故が起きました。

その燃えたジャングルジム内で遊んでいました男児( 5歳 )1人が死亡され,更に救助しようと致しました2人が怪我をしたとの事です。

亡くなった男児の御冥福をお祈りいたしますと共に,怪我をされた2名の方の早い御快復を切に願います。

この事故の原因は,木製ジャングルジム形状の展示作品の内部に「 かんなくず 」をかなり詰めまして照明器具で明るく照らし,演出していた為だそうです。

当初はLEDの照明器具のみで明るくしていたのですが,火災事故が起きた時は展示作品の関係者の人が「 投光器 」を「 かんなくず 」の中に入れて更に明るく照らしていたからだそうです。

テレビニュースをよく見ますと,火災事故発生前に「 かんなくず 」へ更に入れられた「 投光器 」は建築現場でよく用いられる300W~500Wの白熱電球が入るものと見られます。

尚,展示作品の制作及び演出は,とある大学の建築学科の指導教員や生徒だったそうなので驚きました。

建築現場でよく用いられる「 投光器 」は発熱量が大きく100℃以上の熱が放射され,短時間で「 かんなくず 」に引火する可能性が高いのです。

同じ建築に関わる者として,この様な事態の発生が予想できなかった事が悔やまれます。

さて,この件をマンションの住戸にあてはめて考えますと,現在の一流ディベロッパーの「 設計基準書 」に於いては住戸内の全ての木製扉の開閉軌跡内に発熱量の多い「 ダウンライト 」( DL )の設置はタブーとされています。

マンション住戸や住宅の設計者の関係者に於いては,この件は常識になっています。

その理由は「 DL 」内の白熱電球は筒状のカバーの中に設置されていますので,発熱しました熱が真下に放出されるので住戸内の木製扉等の可燃物が近くに有りますと,火災が発生する可能性が高いからなのです。

私は過去にこの件と同様な設計を行って,苦い思いを致しております。

その苦い思いとは,今から20数年前に設計した分譲マンションの別棟住戸モデルルームでトイレの木製扉上部より煙が出ていたのです。

住戸モデルルーム来訪者の方が,たまたまトイレの木製扉を少し開け,住戸内廊下天井に設置された「 DL 」の真下に放置されたので,この様な事態になりました。

しかしこの事が教訓になり,直ぐに設計図書内の「 DL 」位置全ての見直しをしまして,設計図書の修正を行ったのです。

そして別棟住戸モデルルームの住戸内廊下天井を一部壊して「 DL 」の位置変更をし,大事に至らなくて助かりました。

言い訳になりますが,昔はマンション住戸内のトイレ扉はトイレ内の方への内開き形式が常道でしたが,上記のマンションを設計しました時期より,トイレ内で倒れた人を早急に救助可能になる様,トイレ扉は原則的に住戸内廊下側への外開きが指導され,ディベロッパーより指示されました。

当時,私が設計しました上記のマンション住戸のトイレ扉は住戸内廊下側への外開きでしたが,トイレ扉の開閉軌跡内の住戸廊下天井に「 DL 」が配置されていたのが原因だったのです。

そして, 別棟住戸モデルルームの「 DL 」が設置されていました住戸内廊下天井の高さは,トイレ扉上端より上に約10センチ程でした。

意匠設計者( 私 )と電気設備設計者の摺り合わせの打合せ不足等がこの様な状況を招きました。

ディベロッパー( クライアント )よりかなり叱責を受けましたが,モデルルームのみでのアクシデントで幸いでした。

そのマンションの工事完成後でしたら,どこかの住戸でボヤが発生していたのでは…と心配になっていました。

更に「 DL 」設置個所で気を付ける個所がございます。

その一番気を付ける場所は洗面化粧台の上部に設置されています,三面鏡形式の扉が付いた上部収納( メディシンボックス )です。

三面鏡形式の扉の開閉軌跡上部の天井に「 DL 」が設置されていますと,要注意なのです。

この三面鏡形式の扉の表面は準不燃材の鏡ですが,下地補強として用いる板は木質系のベニアか集成材等の可燃材です。

鏡の付いた扉( 鏡扉 )を開き,天井に設置された「 DL 」の真下に長時間放置致しますと,鏡扉の上部と天井面の間隔は僅か約5~10センチ程度ですので,鏡扉の下地材が「 DL 」の放射熱を吸収しまして,火災の原因になる恐れが有りでとても危険なのです。

この事もモデルルームを見に行かれた時に確認された方が良いのでは…と思います。

最近の新規分譲マンションの「 DL 」の電球はLED電球だから発熱量は少ないと,反論される方もいらっしゃると思いますが,ワット数の大きいLED電球の発熱量は結構多いと言われています。

ですので,木製扉の開閉軌跡内に照明器具を設置された物件は配慮不足なのではと思われますので,控えた方が賢明かと存じます。


次回このコラム549号は12月14日( 第2水曜日 ) に更新致しますのでお楽しみに…。

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