「 戸境壁 」の「 家具転倒防止対策 」用下地材は…1

今回は「 戸境壁 」の「 家具転倒防止対策 」用の下地材に関してのお話です。

最近,毎日日本中の何処かで地震が発生致しておりますので,近い将来にまた大きな地震が発生するのでは…と憂いを懐きまして,マンションの住戸内に於いて「 家具転倒防止対策 」は必要不可欠だと思っております。

特に「 長周期地震動 」が発生した場合は背の高い家具は「 家具転倒防止対策 」をしていなければ間違いなく倒れると予想されます。

さて,ここで「 戸境壁 」と「 間仕切り壁 」の違いについておさらいを致しましょう。

どうも,建築関係の方以外の方々やメディア関係の方には「 戸境壁 」と「 間仕切り壁 」の違いがお分かりでない様子ですので再度御説明致します。

まず,今回の「 戸境壁 」とは住戸と住戸との間に有る隔壁の事で,マンションの場合は耐火性能が1時間以上を基準とし,遮音性能の基準値も定められております。

そして「 戸境壁 」の仕様は2種類有ります。「 鉄筋コンクリート造 」仕様と,ボードを使用した「 乾式工法 」仕様です。

次に「 間仕切り壁 」とは住戸内の部屋と部屋を仕切る壁の事で,建材の耐火性能は建物高さに依り異なり,遮音性能の基準は有りません。

この事を頭の隅に置いてこれからの御説明をお読み下さい。

上記で申し上げた「 戸境壁 」が「 鉄筋コンクリート造 」仕様の場合に「 家具転倒防止対策 」用下地材の設置はとても困難なのです。この事は私ども建築家( マンション設計者 )の本音です。

ちなみに「 戸境壁 」が「 乾式工法 」仕様の場合は割と簡単です。

この「 戸境壁 」が「 乾式工法 」仕様の「 家具転倒防止対策 」用下地材の設置方法は,次回このコラム531号『 「 戸境壁 」の「 家具転倒防止対策 」用下地材は…2。 』で御説明させて戴く予定です。

さて「 戸境壁 」が「 鉄筋コンクリート造 」仕様の場合,とても困難な理由は仕上げ方法が鉄筋コンクリート面に直( じか )にビニールクロスを貼っているケースです。このケースは隣戸間の遮音性能はとても良いのですが「 家具転倒防止対策 」用の金物を留める下地材の設置方法がとても難しいのです。

その理由は「 戸境壁 」の仕様であります「 鉄筋コンクリート造 」の壁に直接コンクリート用の釘やビス等は留めてはいけない事になっているからです。

どうしてかと申しますと「 戸境壁 」の「 鉄筋コンクリート造 」の部分は共用部分であり専有部分ではないのですので,基本的にコンクリート用ビス等で穴を開けたり,欠損したりする事は禁止されています。

この事はマンションの管理規約に載っているはずです。もし管理規約に書いてなければ,そのマンションは将来荒れ放題( スラム化 )になる可能性が大なので新築マンションや中古マンション購入時には必ず確認する事が必要だと思います。

そこで,私の独断と偏見で考えましたのが,木ビスが留まる耐水ベニア板( 厚さ12.5ミリ:俗称では「 コンパネ 」 )を「 家具転倒防止対策 」用下地材として「 戸境壁 」の鉄筋コンクリート部分に打ち込む事です。

このコラムお読み戴いている皆様に分かり易く具体的に申し上げれば,上記の「 コンパネ 」を建設中「 戸境壁 」のコンクリート型枠の幅を12.5ミリ×2戸分で計25ミリぶんを更に広げ,コンクリートを流し込む前に先程の「 コンパネ 」をコンクリート型枠に仮留めを致します。

その後にコンクリートを流し込み「 鉄筋コンクリート造 」の壁に「 コンパネ 」をコンクリート内に打ち込む事です。

更に詳しく御説明致しますと,下地材となる「 コンパネ 」の長手( ながて )方向の上下両端部を斜めに削り,木口断面を台形にし,底辺( 長い辺 )を隣戸側に向け,上辺( 短い辺 )をこちらの住戸側に向けます。

そして,設置位置は床仕上がり面より上方へ1.8メートルを芯にし,上下15センチ計30センチ幅の「 コンパネ 」を住戸内の「 戸境壁 」に面した部屋に建設中に設置する事なのです。

ちなみに「 コンパネ 」の長手方向の上下両端部を削る事に依って木口断面が台形になり,底辺( 長い辺 )を隣戸側に向ければ「 コンパネ 」のコンクリートに埋まっている部分の幅が広いので引っ張り力に強いのからなのです…これは私の「 ポン知恵 」( ちょっとした思い付きで浮かんだアイデア )です。

その壁面のコンパネ周囲に寒冷紗( かんれいしゃ:包帯の様な布 )という布状の物を貼り,液状のパテ塗布の後,乾燥しましたらしごいて平らに致します。

その様に致しませんと「 コンパネ 」は木材ですのでコンクリートとは収縮率が違います。ですので,この処置を施しませんで,直( じか )にビニールクロスを貼りますと,竣工後3年位でコンクリートと「 コンパネ 」の境目でビニールクロスに亀裂が生じる恐れが多分に有るからなのです。

これは私の過去の苦い経験から申し上げています。

上記の結果として「 戸境壁 」の厚さは通常は200ミリのコンクリートですが,上記の様な仕様にすると225ミリと若干厚くなります。遮音性も若干高まるのでは…と思います。

この「 ポン知恵 」を採用致しますと,建築費用が若干上昇いたしますが「 ピクチャーレール 」を標準仕様にした場合の建築費上昇と比較致しますと微々たるものだと思います。

そう致しまして「 コンパネ 」部分のみを専有部分と管理規約に記しますと「 鉄筋コンクリート造 」の「 戸境壁 」側を背に高い家具の配置が可能になり「 家具転倒防止対策 」用金物が木ビス留め可能になります。この仕様で地震対策は万全だと思いますが如何でしょうか…。

良識あるディベロッパーは今後建てる新規分譲マンションに於いて,上記内容を検討し更に改良を加えて採用して戴く事が,現在の日本に於いて今後は先決事項でないかと思います。

コラムの文章がだいぶ長くなりましたので,次の「 戸境壁 」が「 鉄筋コンクリート造 」でなく「 乾式工法 」の場合の「 家具転倒防止対策 」用下地材の設置方法に関しては次回このコラム531号『 「 戸境壁 」の「 家具転倒防止対策 」用下地材は…2。 』で御説明致します。

尚,今回の私の「 ポン知恵 」に疑問,異論や反論が有る方は「 住まいサーフィン 」内に於ける私の「 碓井建築オフィスによるサービス 」内の「 お問い合わせフォーム 」に書いて御送り下さい。URLは以下です。クリックして御記入下さい。

http://www.sumai-surfin.com/service/usui-office/

また「 間仕切り壁 」の「 家具転倒防止対策 」に関しては,このコラム328号『 「 家具転倒防止対策 」を…。 』を御覧下さい。URLは以下です。クリックして御覧下さい。

https://s.sumai-surfin.com/columns/category/50/328

次回,このコラム531号『 「 戸境壁 」の「 家具転倒防止対策 」用下地材は…2。 』は3月9日( 第2水曜日 ) に更新致しますのでお楽しみに…。

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