「構造計算書」偽造事件について-その4

今回も前回に引き続き「構造計算書偽造」事件についてのお話をいたします。

連日のテレビや新聞報道を見ていますとどんどん同様の偽装事件が出てきまして同じ建築家として恥ずかしい限りです。

建設業界で言われているスーパーゼネコン(大手5社-鹿島建設,竹中工務店,清水建設,大成建設,大林組)の内の2社が構造図に疑問を感じずに施工を請けてしまったというから驚きです。

この報道を見ました時には私は驚愕し「マサカ」と口走ってしまいました。

上記の大手5社は過去に「TQC」(トータル・クオリティー・コントロール)にリキを入れて品質の確保に熱心な建設会社でした。

建設会社の品質確保の第一番目は構造体(躯体)だと思います。建設を依頼してきた建物の偽造された「構造計算書」添付の構造図を見て何も疑問を感じなかったのでしょうか…?

以前は「TQC」を錦の御旗にかかげていたスーパーゼネコンです。1年の受注金額が1兆円を超える会社も有ります。

スーパーゼネコンは何重にもチェック機能(関所)が有り,昔は私達設計者に「この構造で大丈夫ですか?」と質問し,「心配なら貴社の技術部で精査してください。」とまでこちらに言わせた誇り高い建設会社です。その物件は当然ゼネコンでも精査されお墨付きをもらいましたが…。

今や公共工事が極端に減少し,スーパーゼネコンは無節操に工事を受注する傾向が目立ってきています。でなければ見積り時点で鉄筋の太さや量で「おかしい」と気付くはずです。前々回も申し上げた様にスーパーゼネコンであれば見積り時点で見過ごしても工事着工時点で現場所長や監督が偽装構造図を見ればすぐ気付くはずですし,そうでなければスーパーゼネコンでは有りません。

スーパーゼネコンはその下位のゼネコンより工事費単価が高いがそれが安心料とまで言われていたのですが今回の件で総崩れです。

当分,スーパーゼネコンも信用回復は出来ませんし,世間に与えた影響はかなり大きいはずです。

もう,建築業界は何処を信用して良いのかは素人の人には区別できなくなりました。

最近,私の「購入相談」や「現地同行」で依頼者の方々の最初の御質問は「この事業者は信用できますか?」や「この建設会社は大丈夫ですか?」と言うのが増えてきました。

私の専門である建築(建物)の質のチェックより先に上記の質問が極端に増えてきました。

私は今までに約30社の売主から設計依頼を受けて付き合いましたので,その会社の社風や質は良く知っています。売主は大手だから大丈夫と言う事は無いと実感しております。逆に中堅の売主でも大手よりずっと良い会社も有ります。

また40社以上の建設会社(ゼネコン)が私の設計した建物を建設してくれましたので,今迄付き合った建設会社の技量は良く知っています。建設会社も大手が良いとは限りません。
一緒に仕事をしないとゼネコンの社風や質はわかりません。

これからマンションを購入する方々,身内や友人の中に不動産業界の人か建設業界の人が1人や2人は居ると思いますので絶対に契約前にそういう業界の人に相談して下さい。

一生の買い物なのですから…。

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