「 工事管理 」と「 工事監理 」の違いは…。

先日「 傾いたマンション 」の報道に於いてテレビや週刊誌等のメディアより沢山の取材を受けました。

その時にビックリ致しましたのがメディアの取材の方が「 工事管理 」と「 工事監理 」の違いを知らなかった事です。

建築に関して素人の方が「 工事管理 」と「 工事監理 」の違いを知らないのは当然ですが,せめてメディアの仕事をされている方々は「 工事管理 」と「 工事監理 」の違いくらいは御存知だと思っていました。

ちなみに,私ども建築に携わっている者にとっては「 工事管理 」と「 工事監理 」の違いを知らないのは言語道断です。

尚,建築関係の人達は「 工事管理 」を竹管( たけかん )と呼び「 工事監理 」は皿監( さらかん )と呼んでいます。

ですので,今回は「 工事管理 」と「 工事監理 」の違いを私の独断と偏見で分かり易く御説明致します。

まず「 工事管理 」( たけかん )の業務内容の御説明を大雑把に申し上げます。

「 工事管理 」とは「 建設会社 」が行う作業で,その作業内容は,建築工事のマネージメントです。

建築工事のマネージメントを噛み砕いて申し上げますと,限られた予算( 工事費 )と限られた期間( 工期 )内で設計図書通りに建物を建設する作業です。

まず,限られた工期内に建設する建物の各業種である仮設工事( 現場周囲の仮囲い設置や現場事務所の設置等 ),基礎・杭工事,躯体工事,仕上げ工事や外構工事等を設備工事,電気工事と共に各々の工期等の調整( クリティカルパス )をし,総合工程表を作成致します。

それと同時に設計図書よりも,もっと詳しい各業種の工事の為に「 施工図 」を作成致します。

そして,先程の各業種の業者さんを呼び,各工事の工期と予算を告げて,OKの業者に請け負わせるのです。

工事期間中は各業種の各工事が「 設計図書 」並びに「 施工図 」通りに間違いなく進行しているか,総合工程表通りに各工事が進んでいるかをチェックし,各業種が終了しますと,その都度チェック致しまして,次の業種の業者さんに工事を始める様に指示を致します。

竣工時になりますと,まず施工者独自の竣工検査を行い,仕上がりの悪い個所を抜き出して,各業種の各業者に修正工事( ダメ工事 )を指示致し,ダメ工事を行わせます。

それから施主と設計者の竣工検査に同行いたします。

そこで,施主や設計者より追加の修正工事の指示がでましたら,更に修正工事を行って完了です。

分譲マンションの建築工事の場合は,購入者( 入居者 )の専有部分の検査( 内覧会 )に通常は「 工事管理者 」が立会います。

以上が大雑把ですが「 工事管理者 」の業務内容です。

次に「 工事監理 」( さらかん )の業務内容の御説明を大雑把に御説明致します。

「 工事監理 」を行う会社は「 設計事務所 」或は「 工事監理専門会社 」で,業務内容は工事内容が設計図書通りに行っているか,そして工事工程が総合工程表通りに進んでいるかのインスペクション( チェック )です。

大きな建物で建築工事費が高価な場合は「 工事監理 」は工事現場に常駐になります。工事費が約100億円以上の場合や官庁工事の場合は「 常駐監理 」になる場合が多いのです。

処が,それ以外の建物の「 工事監理 」は1週間に1回です。その場合は1週間に1回,意匠,構造,電気,設備の「 設計者 」或は「 工事監理専門者 」が工事現場をチェックし修正箇所を見つけて現場定例会議で「 工事管理者 」に指示し工事状況の説明を受けます。

例えば,若し工事工程が遅れていれば「 工事監理者 」は「 工事管理者 」にどのようにして工事工程を最初に承認した総合工程表通りに戻すのかの協議致します。

尚,杭工事や躯体工事の配筋検査等は適時に「 構造設計者 」或は「 構造工事監理者 」が行います。特に杭工事の最初の1本目は杭の位置が設計図書通りかどうかを「 意匠設計者 」も立会います。

また更に「 工事監理 」業務は施主が設計変更を依頼した場合に,設計図書の一部を書き換えて,施工者の追加工事金額の査定チェックとネゴ( ネゴシエーション:折衝 )を致します。

ちなみに,大きな設計変更の場合は「 設計者 」が設計図書を大幅に書き換え,確認申請の再確認を審査機関に提出し,確認( 認可 )してもらいます。

「 工事監理者 」は最後に建設会社より提出された,止むを得ずに変更工事を行った追加工事金請求書の査定及びチェックとネゴをしまして金額の確定及び承認をし終了です。

以上が大雑把ですが「 工事管理 」と「 工事監理 」の業務内容です。

この「 工事管理 」と「 工事監理 」を同じ会社が行うのが,俗に言います「 設計・施工 」です。

「 工事管理 」と「 工事監理 」を同じ会社が行えば,特に「 工事監理 」のインスペクションが甘くなる傾向が出てきます。

ですので,分譲マンションを購入される方には,私はなるべく「 設計・施工 」物件はお勧めしないのです。

但し,設計と施工が異なる会社の場合でも「 設計事務所 」の規模が小さく所員50人未満の場合には,大手ゼネコン( 準大手では無い )の「 設計・施工 」物件の方がましだと思い購入検討可の物件と致します。

その理由は「 設計事務所 」の所員が50人未満ですと,意匠設計のみ自社で行い,構造設計,電気設備設計,給排水設備設計,空調換気設備設計や概算工事費の算出及びゼネコンから提出された工事見積り書の査定・ネゴをする積算部門を外注事務所に依頼するか,工事を行うゼネコンの設計部門に依頼しているケースが多いからです。

そして,この規模の設計事務所の「 工事監理 」は1ヶ月に1回程度行うか,或は外注事務所に依頼するケースがほとんどですのでインスペクション内容が雑になります。

以上が「 工事管理 」と「 工事監理 」の業務内容の違いです。

お分かり戴けましたでしょうか…。


次回,このコラム526号は12月23日( 第4水曜日 ) に更新致しますのでお楽しみに…。


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