「構造計算書」偽造事件について-その3

今回も前回に引き続き「構造計算書偽造」事件についてのお話をいたします。

毎日の新聞報道を見ていますと同じ建築の世界で働いている人間として憤りすら感じます。

建築確認申請の審査のずさんな事が「代行機関」だけではなく,一部の「役所」までも同様で有った事は全く弁解の余地は無いと思います。

私も過去に何十回と「建築確認申請書一式」を役所に申請いたしましたが,1週間後に役所から葉書がきまして,その葉書の内容は意匠図上の是正指摘事項を約10項目程度書いてあり21日間では処理できませんという物でした。

これは建築基準法では「建築確認申請」を提出後,21日間で審査して通さなければならないと規定しているからです。どこの役所でも多くの建築確認申請をかかえていて,特にマンションの建築確認申請を提出後3週間で審査するのは不可能に近いからです。

それで1999年より「代理機関」が建築確認申請の審査をしても良い様に法規が変わったのです。大義名分は「官」から「民」へです。

今回は建物の根幹をなす構造での不正です。例え確認申請が通っていましても,前々回も書きました様に建設会社の見積り担当者や現場の躯体(構造体)を作る担当者が気が付かなかったのが不思議です。見積り時点や躯体建設時点で発覚していればこの様な人命にかかわる事件は起こらなかったでしょう。

最近は私も「内覧会」同行チェックでは意匠図より構造図を重点的に精査しています。売主に依っては販売事務所には意匠図しか置いてなく,構造図,電気設備図,給排水衛生設備図等は無いケースがおおいにありますので「現地同行」チェックの前に購入予定の依頼者の方から当日置いておく様に事前に御願いしています。

そして販売事務所へ行き「設計図書一式を見せて下さい。」と頼みまして出てきた設計図書をみてびっくりする事があります。

よく有るケースが設計図書で「特記仕様書」,「住戸内展開図」や「建具表」等のこちらとしてはチェックに必要な図面を故意に抜いて見せない様にしている事です。その様なたちの悪い売主の設計図書には最初のページに付ける「図面リスト」が無いのです。

「図面リスト」とは設計図書の目次です。目次を見てチェックしたい図面が何ページに有るかが判るのです。「図面リスト」(目次)を故意に抜いてしまえば本当の設計図書一式にどの様な図面が何枚入っているかが全くわかりません。

そういう時は私も「キレ」て強い口調で「近くの現場に設計図書一式有るはずですから持って来て下さい。」と私の悪い癖で命令口調になってしまいます。

その後10分位して販売員が「今回はこの図面しか御見せできません。」と更に私の神経を逆撫で致します。理由を聞いても「私には判りません。売主の命令です。」と言う回答だけです。

かなり憤りながらそこに有る図面だけでチェックし,直ぐその販売事務所を出て近くの喫茶店に行きます。

そして「現地同行」の依頼者の方に「この様な売主の物件はお勧めできません。」と申し伝えます。

設計図書を「間引き」して見せる売主は信用できません。そういう所で売主の体質が判断できます。

一流(大手とは限らない)の売主は絶対にそういう姑息な事は致しません。

これからマンション購入を予定している方々,設計図書を見せてもらい最初のページに「図面リスト」が有るかチェック致しましょう。無ければ帰りましょう。

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