「 免震装置 」の大臣認定不正取得について

今回は東洋ゴム工業製「 免震装置 」の大臣認定不正取得に関してのお話しを致します。

3月13日に「 国土交通省 」住宅局建築指導課・住宅生産課が「 東洋ゴム工業( 株 )が製造した免震材料の大臣認定不適合等について 」という事象をメディアに発表致しました。

大雑把に御説明致しますと,東洋ゴム工業が平成15年から平成23 年にかけて地震の揺れを抑える能力の数値を偽装し,大臣認定を受け能力の低い「 免震装置 」を子会社で製造させ販売していたとの事です。

更に問題なのはこの東洋ゴム工業は昨年( 平成26年 )2月に「 免震装置 」のチェックをしていた担当課長が代わり新任の検査課長が大臣認定に提出した数値の偽装に気付き,上層部に報告していたのにも拘わらずに今年( 平成27年 )3月まで大臣認定不正取得した「 免震装置」を販売していた事です。企業コンプライアンスに欠けた会社に思えます。

そしてこの事が分かった「 国土交通省 」は直ぐに3月13日付けでその偽装数値で大臣認定を取得した3種の「 免震装置 」の大臣認定を取消しました。

この偽装数値で製造され大臣認定を不正取得した3種の「 免震装置 」は2052基で,それが設置された建物の棟数は55棟と発表されました。昨年2月に分かった時点でコンプライアンスが機能し,直ぐに販売をストップしていればもう少し被害を受けた建物が少なくて済んだと思います。

被害を受けた55棟は日本全国18都府県に有り,内訳は19棟が「 庁舎 」「 病院 」や「 複合施設 」で,25棟がマンションで1棟が個人住宅だったそうです。その他10棟の用途名は公表されていません。

先日,「 国土交通省 」住宅局建築指導課は更に3月17日にこの19棟の「 庁舎 」「 病院 」や「 複合施設 」等の建物名称を公表致しました。内容を御覧になりたい方は下記URLをクリックして下さい。

http://www.mlit.go.jp/common/001083008.pdf

この大臣認定不正取得された「 免震装置 」を設置しましたマンション15棟のマンション名や個人住宅1棟の名前は資産価値が落ちると想定をされたそうなので公表は控えたそうです。

尚,この大臣認定不正取得を行った東洋ゴム工業がメディアで言われた今後の対応は55棟に設置された「 免震装置 」の危険性や性能数値を調べ,危ない物のみ交換するとの事で私は唖然と致しました。

ここで,私の独断と偏見で言わせて戴ければこの被害に遭った55棟は建築基準法37条( 指定建築材料の品質に関する性能評価遵守 )違反に該当し,全て「 違法建築物 」扱いになってしまうと思われます。

本来であればこうした不祥事を起こした東洋ゴム工業は全社一体となり自動車のリコール制度と同様の対応を即,行うべきではないかと思われます。具体的には55棟に設置された大臣認定不正取得した「 免震装置 」を他社の大臣認定取得 ( 偽装数値では無い ) された「 免震装置 」に早急に交換する工事を開始すべきです。それが企業倫理で有り,迷惑をかけた建物所有者等への誠意ではないかと思います。

また「 国土交通省 」も早急に東洋ゴム工業にその様に行う事を指示して戴きたいと願っています。

ちなみに,この東洋ゴム工業は2007年に同社が製造した硬質ウレタン製断熱パネルの一部製品について大臣認定を不正に取得し物議を醸し出したのです。ですので,建材の大臣認定不正取得に関しては今回が初めてでは無い前歴の有る会社なのです。

正規の「 耐震装置 」に交換するのは当然の事です。今後「 国土交通省 」は東洋ゴム工業に対し今回の件では何らかの厳しい処分をするべきではないかと存じます。

今回が初めての大臣認定不正取得ではなく,前歴が有るのですから…。

ですので,東洋ゴム工業には2度も不正に大臣認定を取得されたのですから,「 国土交通省 」は「 姉歯事件 」の「 耐震偽装 」と同様に対処すべきだと感じました。

この位の事を「 国土交通省 」は是非行って戴きたいと感じていますが,今回の件に関しては,どうも対応がイマイチなのです。

この3月20日に「 国土交通省 」は「 積層ゴム支承( 免震ゴム装置 )に係る構造方法等の認定に関する実態調査 」をメーカーに自社調査を行う協力を求めました。下記UPLをクリックして御覧下さい。

http://www.mlit.go.jp/common/001083640.pdf

全てのメーカーが全ての「 免震ゴム装置 」を正確に自社調査を行い報告書を作成・提出するとは私は思えません。

「 国土交通省 」は「 性善説 」で事を進めていく様ですが,今回の件で厳重な対処を行わなければ,いつまでたっても建材メーカーや建築業界の体質は一向に改善されないのではないかと危惧しております。

最後になりましたが,「 免震装置 」は「 長周期地震動 」( 約2~20秒周期で揺れる震動 )や「 直下型地震 」にはほとんど効果が無いそうです。ですのでタワーマンション等を検討されている方は「 免震装置 」の有無よりも「 制振装置 」( 建物の振動を低減させる装置 )が設置されているか否かをチェックされる事の方が大切だと私は思います。


尚,次回512号は4月8日( 第2水曜日 ) に更新致しますのでお楽しみに…。


PS:
3月16日夕方,急にフジテレビより御座敷がかかり,この偽装の件で私のコメントを録画し,16時50分から始まる「 スーパーニュース 」と23時45分から始まる「 ニュースJAPAN 」に放映されました。フジテレビのHPより御覧戴ければ幸いです


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