メーターボックスの仕様と形状で…。

今回は分譲マンションに設置されています各住戸のメーターボックス( MB )に関してのお話しを致します。

さて,MBとは何ぞやと申される方にMBの御説明を大雑把に致します。MBとは各住戸の水道メーター,電気メーター,ガスメーター( オール電化マンションの場合には無い )そしてそれらへの水道,電気やガス等を供給する管( 竪配管 )が設置されているボックスです。更に給湯器が設置されているMBも多々存在致します。

そこで,分譲マンションに於いてこのMBの形状と仕様で売主( 事業主 )が入居者( 購入者 )に対する気配りの様子が分かるので御説明致します。

今回は,一番供給量が多く一般的なファミリー向けの外廊下型マンションの各住戸MBの仕様と形状の良し悪しに関して御説明致します。尚,屋内廊下型マンションの各住戸MBを御覧になっても,普通の方ですと売主の気配りの様子は分かりませんので今回は省略させて戴きます。

外廊下型マンションの住戸に設置されたMBのベストな仕様はMBが各戸ごとに設置されており,MB内のメーター検針やメンテナンス等の為の扉やパネルが設置されている面以外の壁3面が鉄筋コンクリート造である事で且つMB内には給湯器は設置されていない仕様の事です。

この事はとても重要な事なのです。その理由はメーター検針やメンテナンス等の扉は工場にて鉄板を加工し,その後に焼き付け塗装仕上げていますので,風雨にさらされて,その結果経年変化で錆が生じてきます。

ですので,外廊下に面したMBの塗装された鉄板部分の面積が少なければ,凹み,傷や錆が生じる個所が少なくて済むからなのです。

また,MB内に給湯器が設置されていますと,MBより住戸内の配管の数が多くなりその分住戸のMBに面した大梁や壁を貫通する穴が増え,鉄筋コンクリート造の大梁や壁にひび割れが生じる可能性が大きくなるのです。

ちなみに給湯器はメインバルコニー側に設置されていますのがベストだと思います。

ではベストではないMBは,最近良く見かけます新規分譲マンションの住戸に設置されたMBの仕様で1面のみが鉄筋コンクリート造で,あとの3面( 点検扉を含めて )は塗装された鉄板製のものです。この仕様ですと当然凹み,傷や錆が生じる所が多くなります。

またこの仕様でMB内に給湯器等が設置されていますと,給湯器のオン・オフの音が鉄板の箱( MB )内で微振動を起こし共鳴致し,深夜時等には結構な音を発生させる場合が有ります。その結果,その音が気になってよく寝られないケースが有る様です。

MBをこの様な仕様にしている傾向は明らかに売主サイドの建築費削減の為だけで,入居者にとっては何のメリットも有りません。

将来の大規模修繕時に外部に塗装された鉄板部分が多ければ,修繕工事費がかなり高額になります。その理由は塗装された鉄板に生じた錆をまずサンドペーパーで落としその後錆止め塗装をし,最後に色合わせをした塗料で再塗装をするからです。

ちなみに,外階段が鉄骨製の場合も同じ事が言えます。このコラム32号『 屋外階段は鉄筋コンクリート製であれば購入者に配慮している 』を御覧下さい。URLは以下です。
  https://s.sumai-surfin.com/columns/category/50/32

次に,外廊下型マンションの住戸に設置されたMBのワーストワンの仕様と形状を御説明致します。

MBのワーストワンの仕様と形状は,2住戸に1個( 1ヶ所 )のMBです。このMBは住戸間の戸境壁及び柱の外側の外壁に設置されているものです。

特に柱の位置がアウトフレームで外廊下側に出っ張っていますと住戸内の空間は良いのですが,外廊下側に出っ張った柱の面に2住戸用のMBが設置されていますので,外廊下の歩く部分の幅がMBの奥行寸法分狭くなりますし,更に外観上も好ましくありません。

この形状のMBは柱に接する部分を除いたほぼ4面が塗装された鉄板部分です。

更にこの形状のMBの良くない所は住戸間の柱を中心に設置されておりまして,各配管全てを住戸上部の二重天井に送っているケースが多い事です。すなわち,柱に接しています大梁の柱の直ぐ脇に配管の貫通穴を設けて各配管をしている事です。

日本建築学会の構造基準では大梁に穴を開ける位置は柱よりスパン( 柱から次の柱への長さ )の1/3以上離した方が良い…と謳っています。尚,水道管やガス管等を通す穴は直径が10センチ以下ですので,厳密に申し上げれば上記基準には該当しません。しかし,大梁が柱と接する位置周辺は地震時に水平応力が最もかかる所ですので,この辺りに大梁に貫通穴を設置しない方が構造面の観点からも良いと思います。

良い売主はこれら建物の構造の耐力の維持を配慮し,外廊下に面する壁スパンの中央付近にMBを設置していますのでこの事も判断材料になると思います。

ここで私が約17年位前にスーパーゼネコン子会社の大手ディベロッパーX社の分譲マンションの設計及び工事監理でお叱りを受けたお話しを致します。

そのマンションを設計及び工事監理の担当者A君は竣工1か月前に私の部に配属になったので,私はそのマンションの設計図書をほとんどチェックしていませんでした。言い訳になりますが,A君が以前所属していた上司が充分チェックしていたものだと思っていました。

そして,A君が「 明後日クライアント( X社 )と設計事務所の竣工検査なので,碓井部長も参加して欲しい 」と要請してきましたので,他のクライアントとの打ち合わせ予定を変更してもらい,竣工検査に立ち会いました。

現場に着いて直ぐに,クライアントであるX社の技術部長に呼ばれて「 碓井部長,MBの仕様をチェックしましたか?MBの2面が鉄板に塗装仕上げです。これでは,施工会社Z社( 土地持ち込み営業が主な大手マンション建設会社 )と同じレベルですね…。東急設計さんに設計及び工事監理を依頼したメリットがかなり消えてしまいましたね…。 」と言われてしまいました。

このスーパーゼネコン子会社の大手ディベロッパーX社物件のHP内の住戸プランを見ますと確かに,Z社設計・施工物件以外はほとんどの物件のMB3面の壁が鉄筋コンクリート造でした。

さすがスーパーゼネコン子会社の大手ディベロッパーX社だなあ…と感心致しました。

最後に,私はこのX社の物件内容はかなり良いと思っていますので,もうそろそろ量より質を大切にされて施工会社Z社主導の物件をX社主導に変えた方が良いと思っています。

今回は分譲マンションの売主及び施工会社の良し悪しがMBの仕様や形状等でも判断できる事を皆様に御説明致しました。

次回は11月26日水曜日に更新致します。お楽しみにお待ち戴ければ幸いです。

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