「 版状型超高層マンション 」地震への配慮は…。

今回は最近販売を開始致しました「 版状型超高層マンション 」についてのお話を致します。

尚,現在販売中なので物件名が分かる様な概要等の御説明は売主に失礼だと思いますので遠慮させて戴きます。

この物件のHPを隅々まで見ましたら驚きと不安が身体中を駆け巡りました。

理由を申し上げますと,このマンションの住居階の平面図を見ましてビックリし,とても不安になったのです。

住居階の平面形状が間口寸法約80メートルで奥行寸法が20メートル弱なのです。長辺の長さが短辺の長さの約4倍以上有るのです。

そして,この住居階が24層( 階 )有る事です。住居階の棟のみでも高さは約75メートルです。

俗に言う「 版状型超高層マンション 」です。

私の独断と偏見で申し上げればこの住戸階部分は帆船の大きな帆で長辺の壁面に直角方向に強風が当たればかなり揺れるのではと危惧しております。

更に,怖れたのは住居階平面図の辺長比( 長辺/短辺 )が4以上で長辺が約80メートルととても長い事です。これは大きな地震に襲われましたら,この24層( 階 )有る住居階の版状型の棟が屏風状に波を打つ現象が生じる事が予想できるという事です。

24層( 階 )有る住居階の版状型の棟が屏風状に波を打つ現象が生じますと,最悪の場合には外壁に大きなクラック( ひび割れ )が発生し,住戸内に雨水が浸入しますし,更に主要構造部分である大梁等にもクラックが発生する危険性が予想されます。

この住居階平面図の様に長辺が約80メートルで短辺の約4倍以上も有り,且つ高さが約75メートルの版状型の建物であれば最低限,建物長辺80メートルの中間辺りに「 EXP・J 」( エクスパンション・ジョイント )を設けるのが望ましいのではないかと思います。

「 EXP・J 」( エクスパンション・ジョイント )を設ける事に依って,地震時に住居階棟が屏風状に波を打つ現象を起こさない様にするのが顧客への配慮ではないかと思います。

ちなみに「 EXP・J 」( エクスパンション・ジョイント )とは,細長い建物やL字型建物等で,建物の地震時の構造物の変形から建築物を守るために設ける部材相互を分離した接合部分の事です。

詳しく御知りになりたい方はこのコラム220号『 「 EXP・J 」への配慮 』を御覧下さい。URLは下記です。
https://s.sumai-surfin.com/columns/category/50/220

更にこの物件HP内を良く見ましても,どこにも「 制振構造 」の字は見当たりませんで,地震に対する配慮が無くがっかり致しました。

設計及び工事監理は超大手設計事務所が行い,施工はスーパーゼネコンが請けていますのに,何の危惧も感じなかったのでしょうか…。

また確認申請時の構造評定( 構造審査 )を行った審査機関がこの住居階平面図を見まして何も指導しなかったのがとても残念に感じております。

私はこの様な「 版状型超高層マンション 」を建てるのであれば,近い将来くるであろう大きな地震への配慮を積極的に行う事が大切だと思います。

PS:最近入ってきました情報では,この新規分譲マンションの販売平均坪当り単価がこの地域ではとても高く350万円/坪弱という事で更に驚きました。不動産アナリストの見解では,この物件の妥当な販売平均坪当り単価は250万円/坪弱でした。

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