居室の帖数表示の正確さを…。

今回は分譲マンション住戸内の各居室( 居住・執務・娯楽等の目的の為継続的に使用する室の事で浴室や便所等は居室では無い )の帖数表示に関してのお話を致します。

分譲マンションの各居室の1帖当たりの平方メートル数に関しては不動産公正取引協議会が取り決めたものなのです。

ちなみに,不動産公正取引協議会とは,大雑把に御説明致しますと,不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)の規定を運用するために昭和38年頃に設立された不動産業界の自主規制機関です。

ですので,不動産業界に若干都合の良い規制になっている所が多々見受けられます。

今回のこのコラムの最初に申し上げた,分譲マンション住戸内の各居室の帖数表示に関しての規制も不動産業界にとっては都合の良い規制であり,購入者( 入居者 )に対しては配慮が若干欠けた規制ですので如何なものかと思い,以前から建築家として疑問に感じていました。ですので,その事を今回は皆様に具体的に御説明致します。

まず,分譲マンション住戸内の各居室の帖数表示は売主及び設計者がどの様に算出をしているのかを御説明致しますと,居室を囲んでいる四方の壁( 間仕切り壁,外壁や戸境壁等 )の壁芯( 壁厚の中心 )から壁芯までの間口寸法と奥行き寸法を掛け合わせ出てきた数値が,その居室の面積( 平方メートル )となって帖数表示の根拠になっています。

そして,その計算で出てきた居室面積の平方メートル数値を1.62平方メートル( 1.8m×0.9m )で割って出てきた数値が,その居室の帖数になり,販売図面集の住戸タイププランの各居室に帖数表示しております。通常戸建住宅( 分譲や賃貸で無い )での1帖表示は約1.65平方メートル( 約1坪の1/2 )ですので,分譲マンション住戸の居室の1帖は戸建住宅の1帖と比較致しますと1帖につき0.03平方メートル狭いのです。

不動産公正取引協議会の居室の帖数表示に関しての規制はこの事だけなのです。処が皆様がお気付きにならない,問題が少なくとも2つ有ります。

まず,1つ目は居室を囲っている四方の壁が外壁,戸境壁と間仕切壁という3種類の場合,面積算定の根拠になる壁芯の位置が問題になります。

外壁側の壁芯の位置は外部に面した鉄筋コンクリート造の壁( ALC版,PC版等 )の壁芯の位置を基にしています。鉄筋コンクリート造の外壁厚さは通常15センチです。その芯( 中心 )ですので7.5センチ分は居室面積( 帖数 )に含まれて帖数表示しております。

更に外壁の鉄筋コンクリート造壁の室内面には断熱材が厚さ約2.5センチ吹き付けられ,その上に団子状の接着剤( GLボンド )でプラスターボード( 厚さ0.95~1.25センチ)を居室内側の壁として設置致します。

この場合,外壁の壁芯から居室内側壁表面までの寸法を大雑把に計算致しますと,7.5センチプラス4.5センチ計約12センチ有り,トータルでその部分の面積が居室面積( 帖数 )に含まれて帖数表示されている事なのです。この使えない面積を含んでの居室面積の計算の帖数表示は,実際に使用可能な居室面積の帖数とかなり乖離が有ると思います。

そして,居室のもう一つの壁が,外壁に直角に交わった鉄筋コンクリート造の戸境壁の場合,面積算定根拠となる壁芯の位置は戸境壁厚さの芯になります。しかし,この戸境壁の仕上げの仕様が2種類有ります。1番目は私が提唱しています,戸境壁のコンクリート壁面に直にビニールクロスを貼った場合です。2番目は戸境壁のコンクリート面が平滑に施工できない場合の仕様で戸境壁コンクリート壁面より居室内側方向へ約2センチから3センチ離した位置に間柱( 軽量鉄骨 )を設置( 立てる )し,そこにプラスターボードを貼りその表面にビニールクロスで仕上げているケースです。

この居室壁の場合も鉄筋コンクリート造の戸境壁厚さ約18センチの壁芯は表面から9センチの位置ですので,この部分が居室面積( 帖数 )に含まれて帖数表示しています。処が先程申し上げた2番目のケースですと戸境壁の鉄筋コンクリート造壁面より約7センチ居室内側にプラスターボード表面が有りますので9センチプラス7センチ計16センチ部分が居室面積( 帖数 )に含まれて帖数表示されているのです。

今度は居室の面積算定の計算根拠になる壁が間仕切り壁の場合,間仕切り壁厚さは通常約7センチなので壁芯位置は表面より約3.5センチの位置なのです。この3.5センチ部分も居室面積( 帖数 )に含まれて帖数表示されています。

ここまでは,100歩譲って許容致するとしても,私には許容できない居室面積( 帖数 )算定での帖数表示の規制の不備です。それがこれからお話致します2つ目の件です。

2つ目は,居室内の隅に建物の大きな柱の半分や全てが配置されている場合です。その場合は,その柱の面積を含んだ面積が居室面積( 帖数 )で帖数表示の値になっている事です。

その傾向が多いのが,インナーフレーム工法( 柱や大梁が住戸内に有る工法 )のマンションやタワーマンションです。特にタワーマンションの建物の柱寸法は大きいので居室内に有りますと帖数表示も広くなりますが実際の広さとかなり違います。先週も申し上げましたが,この事も私がタワーマンションを良しとしない理由の1つでもあります。

この2つ目の件はかなり重大な事で,私は今流行りの「 虚偽表示 」に該当するのではないかと思っております。そして,この件は,早急に国の独立した行政組織である公正取引委員会が調査し,不動産公正取引協議会の帖数表示規制及び国土交通省の宅地建物業法に居室面積( 帖数 )の帖数表示は建物の柱面積は差し引く事という規制を作成し,付加すべきではないでしょうか…。分譲マンション購入は高価な買い物ですので是非実行を期待しています。

ちなみに,私の提案では居室面積( 帖数 )計算は居室内側のプラスターボード壁芯を基準に算定し,帖数表示するのが良いのではと思っています。その様に規制すれば居室の帖数表示の数値がかなり実際の面積に近くなると思いますが如何でしょうか…。

しかし,私の提案の方法で規制致しますと,三流のディベロッパーは居室の壁のプラスターボード厚を薄い9.5ミリを採用しかねませんので,痛し痒しです。

これからマンション購入を予定されている方に申し上げます。購入検討しているマンションの居室の隅に建物の柱が有りましたら,販売員に居室内の柱の面積を除いた面積を算定してもらって下さい。その面積( 平方メートル )が居室内の実際に使える面積なので1.62平方メートルで割って帖数を出してみて検討した方が良いと思います。

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