建物デザイン重視に依る居住性は…。

最近の新規分譲マンションをチェックしていますと,建物外観デザインを重視し,居住性を軽視する傾向が高い様です。

建物外観デザインを重視する事は非常に大切です。そのマンションのステータスを表現致します。

しかし,その結果住戸プランに影響を与え居住性が犠牲になっている物件が多々見受けられます。ですので,これから新規分譲マンション購入を検討されている方にこの様な傾向の内容を具体的に御説明いたします。

まず,一番多いケースは建物の構造体である柱を住戸内に設置( インナーフレーム工法 )し,柱を外に出さずに外観のデザインを良く見せる手法のマンションです。これはマンション設計の経験が少ない設計者が良く使う手法です。この様な設計者が設計致しましたマンションはデザイン重視ですので,住戸プランの内容はオソマツなものが多く気配りがほとんど感じられない物件になっているようです。

このケースを更に具体的に御説明致しますと,住戸内の11帖強程度のリビング・ダイニングルーム( LD )の隅に大きな柱が部屋内側に有りますと,リビングセット( ソファーやソファー用テーブル),サイドボード等やダイニングセット( 食卓と椅子等)の配置が大変難しくなります。

そして克つ,外廊下側の6帖強程度の洋室( 主寝室 )の隅に大きな柱が有りますと,シングルベッド2台とナイトテーブルの配置はとても困難です。例え配置できたとしても,ベッド周囲に幅約40センチ程度の通路状のスペースが有りませんと毎日のベッドメーキングが大変な作業になります。

更に問題なのは部屋の中に有る柱の面積( 使えない面積 )も含めて部屋の帖数として表示している事です。私はこの帖数表示は以前から疑問に思っていました。早く「 不動産公正取引協議会 」で柱の面積は帖数表示に含まない様に規定を作るべきだと思います。

二番目に多いケースはタワーマンションの「 アウトフレーム逆梁工法 」の場合です。「 アウトフレーム逆梁工法 」とは大雑把に御説明致しますと,住戸外側のメインバルコニーの先端に柱を立て,柱と柱をつなぐ大梁をメインバルコニー床上に設置し,手摺の一部にする工法です。詳しくお知りになりたい方は,このコラム62号「 アウトフレーム逆梁工法のディメリット 」を参考に御覧下さい。URLは下記です。

https://s.sumai-surfin.com/columns/category/50/62

タワーマンションの「 アウトフレーム逆梁工法 」の柱の位置は約6m~8m間隔で規則正しく同じ間隔に並べて立っています。ですので,縦方向の柱が強調されまして,建物外観のデザインがきれいに見えます。尚,タワーマンションの「 アウトフレーム逆梁工法 」では柱から住戸方向への壁は設置していません。

その結果,この柱の位置は住戸プランをほとんど意識していないケースが多いのです。

具体的に申し上げれば,LDや洋室の窓より外へ約1m強離れた正面に柱が立っているのです。部屋の内側から窓の外を見ますと,窓のほぼ正面に柱が立っていますので,タワーマンションの唯一のメリットである眺望の良さが無くなってしまっています。

タワーマンションの中層階や低層階の住戸は広くないので,各フロアー内の住戸割り付け配置に依って,この様な住戸になるケースが多いのです。しかし,設計者の配慮と力量が優れていればこの様な事は生じません。

外観デザイン重視の結果に依り上記2ケースの様な住戸の有る新規分譲マンションが最近かなり増えています。

居住性の良さよりも外観デザイン重視の方には良いと思います。しかし,居住性重視の方はこの様な住戸プランの有る新規分譲マンションの設計者は常にデザイン優先で入居者への居住性への配慮は「 二の次 」と想像できますので,避けた方が賢明だと思います。



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