マンション建築の「 設計・監理報酬 」は安すぎるのでは…。-1

ファミリーマンションの「 設計及び工事監理報酬 」は現在とても安く,総工事費( 建築工事,電気設備工事,給排水衛生設備工事,空調換気設備工事,外構工事等 )の2.2%~3%弱です。

例えば総戸数50戸のファミリーマンションの総工事費は約8億円くらいです。そう致しますと「 設計及び工事監理報酬 」は約1,800万円~2,400万円弱です。

この金額で商品企画から基本設計を行い工事概算見積書の作製をして提出し,ディベロッパーの承認を得た後,実施設計図作成致します。実施設計図面作成中に確認提出用図面が完成した段階で確認申請の提出及び取得をし,並行して実施設計図面全てを完成させます。更に最近は「 住宅性能表示制度 」の手続きまでも追加報酬無しで行なわされ,着工致しましたら工事監理まで行なうのです。

商品企画に着手してから工事監理終了までに約1年半以上かかります。またこれらに掛かる人件費や諸経費は大変なものです。

先日,久々に私と大学で同期であった大手設計事務所在籍の友人に会いましたら,開口一番「 碓井君,もう小規模のマンション設計を続けていましたら,赤字ですよ。会社は慈善団体ではないので利益を出さなければ存続しないですよ。 」と言いました。

更に「 “ 設計及び工事監理報酬 ”金額の中の人件費を費やした時間で割りますと,ファミレス等の時給以下の800円程度なのです。これでは良いマンションの設計はできず会社の信用と名声を落としてしまうのです。だから今後は大規模マンションの設計しか受注しない様にしました。そしてなるべくマンション以外の建物の設計の受注に力を入れる様にしたのですよ。 」と彼は私に言ってきました。

それを聞いて,私は日本では建築設計事務所は余程大きな事務所でないと存続できないと感じました。

ディベロッパーは往々にして総戸数50戸以下のマンションの設計は,小さな設計事務所( 所員10人以下 )に依頼してきます。この規模の設計事務所は意匠設計のみ自社で行い,構造設計,電気設備設計,給排水衛生設備設計,空調換気設備設計等は専門の外注事務所に依頼しています。これらの外注事務所への支払いも大変です。

ですので,特に最近のマンションの内容は,10年前頃と同様の羊羹の輪切り型で「 田の字型住戸 」プランが多いのです。この「 田の字型住戸 」プランは今迄どこかのマンションで採用したプランをCADで貼り付ければ簡単でかなり人件費が圧縮できます。

それでも,この処所員10人以下の建築設計事務所はかなりの数で倒産しています。

理由は先程申し上げました様にマンションの「 設計及び工事監理報酬 」がかなり安く仕事量がやたらに多すぎるので経営が成り立たないからです。全く情けない事です。

この件に関しては,まだまだ申し上げたい事が沢山有りますので,続きは次回にお話致します。


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