住戸内の引戸の良し悪し-3

今回もマンションの住戸内の引戸のメリット,ディメリットについてのお話を致しましょう。

前回,前々回も申し上げました様に引戸には大きく分けて2タイプ有ります。床(下)レールタイプ引戸と吊りレールタイプ引戸です。

さて,今回は引戸全般のメリット,ディメリットのお話を致します。

開き戸と比べて引戸の唯一のメリットは開閉時に場所を取らないので家具等が置き易い事です。

引戸のディメリットはかなり有ります。

ここで具体的に引戸のディメリットをご説明致しましょう。

引戸は壁側の扉枠との隙間を最低でも5~6ミリ確保致しませんと,開閉時点に擦れてしまいます。この隙間の為に部屋の独立性が損なわれます。この隙間から室内の音が室外に漏れたり,逆に室外の音が室内に入ってきます。

ですので,引戸の部屋で仕事や勉強に気分を集中させるのが難しいのです。更に引戸の主寝室では夫婦生活の音も子供部屋に漏れてくる可能性が大です。

また,最近の引戸は閉じた時に扉と縦枠がただぶつかるだけの納まりなのでぴたっと縦枠に付かず,ここにも隙間が生じます。特に扉の木口に縦枠に当った時の音を和らげるクッション材が貼り付いている場合は扉を閉じても縦枠と扉の隙間が2~3ミリ程度生じます。クッション材は直径9ミリ位で厚さ3ミリ位の硬質スポンジゴムで出来ていて扉木口の上下2箇所に貼る様になっています。

私が大学を卒業して設計事務所に入った頃,引戸を閉じた時にぶつかる縦枠には縦に溝を掘るのが設計のイロハでした。

この溝の大きさは幅が扉厚さプラス2ミリ位で深さは3~5ミリ位でした。扉を閉めた時に扉が縦枠の溝の中にはまり隙間が出来ない様な納まりでした。

現在でも質の良いマンションの引戸の納まりは上記の様になっていますが稀です。

引戸のディメリットはもう一つ有ります。

鍵が付いている引戸です。引戸用の鍵は「鎌錠」と言って農家で使う鎌の刃の様な形をしたラッチが縦枠の穴の中に入って穴の中のバーにかかり施錠できる仕組みです。

この鎌錠がよく壊れるのです。そして直ぐクレームになります。この様な経験を何度か致しますと私がマンションを設計した時は引戸には鍵を付けない様にするか,鍵が不用な扉のみ引戸に致しました。

引戸は開き戸に比べてまだまだディメリットがありますが,長くなりますのでこの辺で止めておきます。

次回は二重サッシュの事のお話を致します。

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