奥行きが深い「 物入れ 」の「 可動棚板 」は…。

マンションという建物は人が住んで生活する「 住まい 」の集合体です。マンション設計者は「 住まい 」としての細かい配慮が必要です。

今回は,細かい配慮の一つを御紹介致します。

最近の新規分譲マンションの3LDK住戸は和室が無くほとんど,オール洋室タイプです。

オール洋室タイプの3LDK住戸には和室が有りませんので,布団等を収納する奥行きの深い「 物入れ 」が無いケースが多いのです。

オール洋室タイプ住戸のモデルルームに行き,奥行きの深い「 物入れ 」が無い場合,私は販売員に「 布団はどこに収納するのですか? 」と聞きます。その時の販売員の答えは,ほとんど「 ウォークインクロゼットの中です。 」と言ってきます。

その様な回答をされた時,私は更に「 ウォークインクロゼットの中のどこですか? 」と問い詰めます。販売員の方は困った顔をして「 ウォークインクロゼットの中ならどこでも布団は置けますよ。 」と答えてきます。

これは明らかに設計者の配慮不足です。

設計者はオール洋室タイプの3LDK住戸内のどこかに間口・奥行き80センチ以上の「 物入れ 」か「 納戸 」を設置しなければなりません。そう致しませんと,冬布団の収納場所が無いのです。

更に設計者として配慮するならば,奥行き80センチ以上の「 物入れ 」の「 可動棚板 」は奥行き寸法の1/2の所で切って,二つ割りに致しますと使い勝手が良いのです。理由は「 物入れ 」に長い物を入れる時には,二つ割り棚板の手前の棚板を奥の棚板の上に載せれば手前の所に長い物を入れられるからなのです。

この様にする事は,入居者にとってはとても有り難い事です。この件は約20年以上前に私が「 東急設計コンサルタント 」に在籍していました時に,当時の上司から教わった事です。

それ以来,私の設計したマンションでは「 物入れ 」の奥行き寸法が75~80センチ以上の場合は常に「 可動棚板 」を奥行き寸法の1/2の所で二分割にしています。結構,入居者には喜ばれています。竣工後1年検査に立会いますと,この件に関してお褒めの言葉を戴いた事が何度か有りました。

チョットした事ですが,設計者の入居者への配慮です。モデルルームへ行かれた時に,奥行きの深い「 物入れ 」が有りましたら「 可動棚板 」をチェックしてみて下さい。設計者の良し悪しが判断できる箇所です。

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