苦しくなってきた中堅ディベロッパー

現在は日本だけでなく欧州等にかなり不況の波が押し寄せていると感じています。

マンション業界では2極分化し,超大手や大手ディベロッパーの立地が良い新規分譲マンションはそこそこ何とか竣工後6ヶ月以内に売れていますが,準大手や中堅ディベロッパーの新規分譲マンションは,ことごとく売れ残っているそうです。

特に中堅ディベロッパーは苦戦を強いられています。中にはいつ「 ドボン 」( 倒産 )してもおかしくない中堅ディベロッパーがかなり存在しています。

ちなみに,5月22日には兵庫県の「 神戸市住宅供給公社 」が「 ドボン 」し, 神戸地裁へ民事再生法の適用を申請致しました。ちなみに負債総額は503億500万円だそうです。

さて,最近よく見かけますのが新規分譲マンションで竣工後6ヶ月以上経っても未だ総戸数の半数以上の住戸が売れ残っている事です。夜9時頃にそのマンションを見ますと良く分ります。共働きの夫婦世帯でも妻か夫のどちらかがだいたい夜9時過ぎには帰宅しているのが一般的ですが,その時間帯に明かりがともっていない住戸はほとんどが売れ残り住戸です。

この様にマンションが売れない大きな理由はやはり立地,価格と質です。以前,世田谷区の住宅地内に建っていたマンション,南側に高いマンションが建っており,立地と質の割に価格が高すぎて,全く売れず竣工後2年強で何とか売り切った物件がありました。大赤字だと思います。
 
この売り主は中堅ディベロッパーです。実は,このマンション,準大手ディベロッパーがもともと売り主になる予定だったのが,工事中ある中堅ディベロッパーに売却したものでした。なぜ売却したのか詳しい経緯は分かりません。私の独断と偏見の想像ですが,以前から事業資金を貸していた金融機関はこの処,準大手や中堅ディベロッパーが抱える販売用不動産に厳しい目を向けて再度審査をしており貸し剥がしをしているそうです。保有不動産( 土地や建物 )や資産の見直しをしているとの事で先程のマンションの当初売主で有った準大手ディベロッパーは中堅ディベロッパーに買い取りを押し付け現金化したのではないかと思っています。見通しが甘かったとはいえ,引き継いだ中堅ディベロッパーが割を食った形となりました。このディベロッパーはもはや時間の問題で「 ドボン 」になると思います。

この話に限らず,中堅ディベロッパーの苦境が目立ってきています。また,「 氷河期に入った 」という声も聞えています。
 
2007年頃までは好調な売れ行きが続いていた為に販売戸数を増やそうと,中堅ディベロッパーは立地が悪いところでもお金を積んで用地を取得したのが販売価格のアップにつながりました。この価格上昇に,郊外の購入者はついていけませんでした。工事費のアップも中堅ディベロッパーの経営を圧迫してしまいました。

先日,ある中堅ディベロッパーの社長が「 マンション販売はもうダメだ。事業を賃貸やリノベーションにしぼるよ。 」と言っていました。

その社長の話に依りますと,郊外の分譲マンションの一つがまったく売れず,完売のメドが立たないと言っていました。工事費はなんとか工面し,支払いを終えたので,これ以上傷を広げないうちに分譲事業から撤退するとのことでした。従業員も3分の1に減らすそうです。社長の「 苦渋の決断 」だったと思います。
 
やはり理由は不景気なので,マンション事業向けの資金の貸し出し審査を金融機関がかなり厳しくしているという話です。中堅ディベロッパーから金融機関の方が離れ始めたのです。売れ行きが悪い物件を抱えた中堅ディベロッパーには,銀行も借り換えは認めてくれないそうです。その為に金利が高いノンバンクから資金を借りて当座をしのいでいる中堅ディベロッパーも結構存在しているともいわれています。そうなるともうその中堅ディベロッパーは「 虫の息 」です。
 
ディベロッパーの事業は次々と新しい用地を仕入れて,マンションを分譲販売していませんと,資金が止まり,倒産してしまいます。俗にいう「 自転車操業 」です。ペダル( 事業転回 )を廻していませんと自転車は倒れます。

「財閥系」「電鉄系」などの超大手ディベロッパーは,新規分譲以外の事業もあり,さほど資金繰りに苦労するということもなさそうですが,後ろ盾のない中堅ディベロッパーは金融機関が離れ始めますと急に資金が回らなくなり苦しい状況に追い込まれます。
 
しかし,中堅ディベロッパーの中には,いい立地の用地の情報が入らないために,プランに工夫を凝らし,購入者を引きつけようという良い会社もありますが,その様にしても,やはり立地が悪く知名度の低いディベロッパーの物件は売れません。前出の社長の会社もその一つです。
 
その様な「 優良ディベロッパー 」が不況のなかで市場からどんどん撤退していくというのは,購入者にとっては悲しい話です。このままでは,ただ「 ブランド 」の力のみで特徴の無いプランのマンションを作り続ける,超大手や大手ディベロッパーばかりが生き残る社会になってしまうのではないでしょうか…。

私はその様なマンション業界にはなって欲しくないと願っています。

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