「 収納 」も大切だが「 癒し 」も大切

最近,新規分譲マンションの住戸内の空間構成を拝見致しますと,無機質( 生命や感情が感じられない )な空間で「 温もり 」や「 癒し 」を演出したデザインでは無い様に感じられます。

この傾向の原因の一つに「 収納 」面積の確保が関わっていると想像致します。

マンションの住戸に「 収納 」は必要不可欠で大切な空間ですが「 癒し 」の空間も必要です。

私は現在「 設計監修 」業務で,マンション設計者にいつも,住戸の収納率は7~8%を確保する様にアドバイスしています。収納率とは収納面積を専有面積で割った%です。
そして,収納面積とは床から天井まで「 収納 」になっている面積です。

新規分譲マンションの販売図面集の中の住戸プランを見ますと,たまに収納率約10%と記載されているものが有ります。住戸プランを一見しても,とても収納率が約10%も有る様に見えないので,その住戸プランの収納面積を計算し,専有面積で割って収納率を算出致しますと約6%弱になるケースが多々有ります。これは明らかに収納面積の算出方法を間違えていると思います。

この事を販売員に告げますと,悪い予想が当り彼等は「 流し台,吊り戸棚,洗面化粧台やその上の三面鏡収納を収納面積に含んでいます。 」と回答してきます。

流し台や吊り戸棚等は通常,まともなデベは収納面積には含みません。住戸プランに収納率が記載されていましたら,収納面積としてカウントした部分はどこかを聞いて下さい。先程の様に流し台や吊り戸棚等を収納面積にカウントしていましたら,そのデベの常識を疑いますので,他の物件を検討した方が良いと思います。

さて,前置きが長くなりましたが,冒頭申し上げました様に私はマンションの住戸の「 収納 」はとても大切ですが「 癒し 」の空間も大切だと思っています。

一昔前はマンションの住戸玄関の下足箱の高さは土間床から80~90センチ位でした。
そして下足箱の天板の上に花瓶が置け「 ウエルカムフラワー 」等,生花を活ける事ができました。外出して疲れて帰った時に住戸玄関扉を開けましたら生花等が有りますと,人間はとても癒されます。生花とその香に癒し効果が有ります。

しかし,最近のほとんどのマンション住戸玄関には生花等を置く場所が全く有りません。
下足箱は壁面収納の様になっているケースが多いからなのです。更に,玄関土間脇にシューズ・イン・クロゼットが配置してある玄関は機能のみで「 無味乾燥 」としています。

毎日生活する空間の中に「 癒し 」の空間が無いと息が詰まってしまいます。

私の提案ですが,廊下に面して壁面収納を配置しましたら,その一部にニッチ( 壁面に設けた窪み )空間を確保すれば,そこに花瓶等が置け,廊下を歩いていると癒されると思います。

また,LDの「 収納 」の一部や壁にもちょっとした「 飾り棚 」を設置致しますと,空間の広がりも演出でき,家族の写真や花瓶等が飾れます。特にLDは憩いの空間なので「 癒し 」の演出は必要ではないでしょうか…。

この様にチョットしたデザインで無味乾燥な「 無機質 」な空間が「 癒し 」の空間になりますのでモデルルーム等を見学する際はこの様な所にも気遣いが有るかをチェックしてみて下さい。

そのデベのマンションの「 温もり 」体質も判りますので…。

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