材質を落としている傾向に要注意

この処「 現地同行 」チェックで新規分譲マンションの設計図書一式を検閲していますと一つ大きな傾向が出てきました。

今回はその傾向を具体的に御説明致します。

その傾向とは,目に見えない,表面を見ただけでは判別できない箇所,主に外壁や下地材等の材質を落として安い材料を採用している事です。

一番顕著なのが,高さ60m未満のマンションの外壁にALC版を採用している事です。
ALC版を外壁に設置している場所は住戸のメインバルコニ側と外廊下側で,妻側住戸の妻側の壁は,鉄筋コンクリート造ダブル配筋仕様になっているのです。

更に驚きましたのは,あるマンションではベイバルコニー( 建物の外壁から湾の様に凹んでいるバルコニー )の凹んでいる部分だけALC版を設置し,バルコニーの手摺と同一面の洋室の外壁は鉄筋コンクリート造ダブル配筋仕様になっていたのです。

鉄筋コンクリート造ダブル配筋仕様の方が耐久性に優れている事が分かっていますので,この様な外壁仕様にするのは,明らかにコストダウンを目的とした,確信犯です。

もう一つ多いケースは住戸内の間仕切り壁等に使用されている,プラスターボード( PB )の厚さが薄くなった事です。

昨年までは,ほとんどの新規分譲マンションは住戸内の壁のPBの厚さは12.5ミリでしたが,今年に入って見たマンションは全て厚さが9.5ミリと薄くなってコストダウンをしているのです。

洋室と洋室の間仕切り壁のPBの厚さが薄くなりますと,隣の部屋の音が聞えてきます。
主寝室の隣が子供部屋ですとチョット問題ですね…。

間仕切り壁は通常,間柱( まばしら:仕切り壁を支える柱 )の軽量鉄骨の両面に厚さ12.5ミリのPBを貼りますので,大雑把に申し上げれば12.5ミリ×2=25ミリの重さのボードで遮音しています。

処がPBの厚さが9.5ミリですと9.5ミリ×2=19ミリの重さのボードになり,6ミリのボードの重さ分だけ軽くなって遮音性能が悪くなります。遮音性能は重量に比例して高くなるのです。

また,住戸内の壁のPBの厚さが薄くなりますと,耐衝撃性も劣り重い家具などが地震等でぶつかりますと,ぶつかった部分が凹み易くなるのです。

この点もデベは充分承知でコストダウンを図っていると思われます。

先日,売主が超一流大手デベの新規分譲マンションの設計図書を見ましたら,住戸内の壁のPB厚さが9.5ミリを採用しており,愕然としました。その物件の価格は6000万円超で販売坪当り単価が約280万円/坪なので「 まさか! 」と思いがっかり致しました。

いままで私はこのデベは「 購入相談 」では結構お奨めしていましたが,もう信用できなくなりました。

中堅デベでも良い体質の会社の新規分譲マンションでは住戸内の壁のPBの厚さは12.5ミリを採用していますのに,超一流大手デベがこの様な姑息なコストダウンを図っているのを目の当たりに見ますと耐えられない気分でした。

尚,この住戸内の壁のPBの厚さは設計図書の「 内部仕上げ表 」を見なければ分かりませんので,販売事務所に置いてある設計図書のチェックをお奨め致します。ちなみに,来訪者に渡している販売図面集の「 内部仕上げ表 」には記載されておりません。

私が長年,マンション設計を行った経験では,PBの厚さは,デベの顧客配慮へのバロメーターです。

今年,新たに分譲するマンションでは上記以外でも結構,性能を左右する箇所で容赦なく無節操にコストダウンを図っている物件が有りますので,友人等建築に詳しい方と一緒に販売事務所・モデルルームに行く事を是非,お奨め致します。

若し,建築に詳しい方が身近にいらっしゃらないのであれば,私の「 現地同行 」チェックを御依頼戴ければ幸いです。

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