「 タンクレストイレ 」設置マンションに問題が…。

以前,このコラムで「 タンクレストイレ 」( タンクレス便器 )について,良い事を書いてしまいましたが,最近数社の「 タンクレストイレ 」設置のマンションでクレームが発生しているとの情報が入りました。
まずはその内容を御説明し,調査不足の不備をお詫び致します。

「 タンクレストイレ 」設置のマンションのクレーム内容は,大便をした後の汚物やペーパーの排出と洗浄不良との事です。

そこで,親しい給排水衛生設備設計者に聞きました処,彼の所にも同じ情報が来ていまして,原因等を私に説明してくれました。

彼の情報を元に,建築家である私が皆様に判り易く御説明致します。

この現象の理由は「 タンクレストイレ 」を設置する所の水圧は条件が有り,平方センチ当り1Kg弱必要なのです。

何かの原因でこの水圧に満たない事が生じますと,汚物の排出や洗浄不良を起こす事が生じるのです。尚,通常の「 タンク付きトイレ 」の設置条件には水圧の規定はほとんど有りません。

通常,マンションの水道は公道の水道管より引き込み,一旦受水槽に貯水し,そこから圧送ポンプで各住戸に給水しております。最近,地方公共団体の水道局に依っては,規模の小さいマンションでは公道から引き込んだ水道管より各住戸へ直結している場合もあるそうです。

ほとんどのマンションの場合は各住戸の給水圧力はメーターボックス内の減圧弁に依って水圧を平方センチ当り約3kg程度にしているそうです。

水圧が平方センチ当り約3kg程度あれば「 タンクレストイレ 」は十分に作動すると思うのですが,マンションの場合,住戸に依っては一時的に水圧が平方センチ当り約3kg以下になってしまうケースが生じてしまう事があるらしいのです。

そのケースの一つは住戸数の多い大型物件で同時間帯に多くの住戸でいっせいに水道を使用致しますと,圧送ポンプの圧力次第で各住戸への給水圧力が平方センチ当り約3kg以下になり,そして住戸内で家族がシャワーや洗濯機等を使っていますと「 タンクレストイレ 」への水圧が下がり,機能障害を起すそうです。

あと,想定される原因は,マンションの場合,水道は各住戸のメーターボックスよりまず「 ヘッダー 」という器具に送り,そこでキッチン,浴室やトイレ等に水圧調整をし,分岐して給水していますので,その「 ヘッダー 」での水圧調整が適正でない場合です。ここでの水圧調整は通常,メーターボックスより一番遠い水栓等は水圧を高くし,一番近い水栓等は水圧を下げているそうです。

マンションの住戸内のトイレは往々にしてメーターボックスに近い所に有ります。その為に,「 ヘッダー 」で若干水圧が下げられて設定されているケースが有りますので「 タンクレストイレ 」の機能障害が起きる現象が発生したのだと推定されるのです。

「 タンクレストイレ 」設置のマンションに御住まいの方々で「 タンクレストイレ 」の排水洗浄不良等の支障が起きた場合,今後トイレを使用する際に不安を抱きながら排便するのは嫌なものだと思います。

「 タンクレストイレ 」の排水洗浄不良が生じた場合は,早急に管理組合総会を開き,この件を問題にし,売主に対して排出不良等の改良工事をしてもらう事をお奨め致します。

この処,新規分譲マンションのモデルルームを拝見致しますと,上記の機能障害の現象が過去に出た売主の物件では「 タンクレストイレ 」の採用が減っており,その代わりに一見「 タンクレストイレ 」とほぼ近い形の「 タンク付きトイレ 」を設置しています。

その様なマンションのモデルルームで販売員の方に私が「 タンクレストイレではないですね。 」と言いますと,販売員の方は「 タンクレストイレはクレームが多いので,当社のマンションには,水圧に左右されないタンクレストイレに似た形のタンク付きトイレを採用する事に致しました。 」と回答されました。

良い売主の会社の体質は,社内の「 ほうれんそう 」( 報告・連絡・相談 )が行き届いていますので,クレームが出た場合,直ぐに検討し改善結果内容が全社員に書面やメールを使って回覧が行く様になっております。ですので,同じクレームが出ない様に次回の新規分譲物件に改善結果内容を反映させています。

この様な売主の物件を選ぶにはモデルルームの見学の際にトイレで「 タンクレストイレ 」を設置しているかどうかを聞くのも一つの方法だと思いました。

売主の体質が大切だと,実感致しました。

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