子供の安全対策指摘に即対応の売主,販売会社

私事で恐縮ですが,前回に引き続き,娘夫婦が選んだ新規分譲マンションのお話を致します。

そのマンションの簡単な物件概要を申し上げますと,最寄駅より徒歩9分,販売坪当り単価は250万円~265万円で総戸数61戸,鉄筋コンクリート造地上8階建てで,アウトフレーム逆梁工法の建物です。

最寄駅からは徒歩9分とチョット遠く,また幹線道路沿いだったのですが,我家から徒歩5分で「 スープの冷めない 」位置なので「 子離れ 」していない私共親にとっては何か有った時でも安心なので,このマンションの購入の検討に賛成した次第です。

そして,販売図面集を見て,私が娘に奨めた住戸は専有面積73平方メートル強( 22坪強 )でワイドスパン(8.1m)の南面3室のタイプです。向きは南西ですが建物面より前方が第一種低層住居専用地域ですので,将来高さ10m以上の建物は建たないのも奨めた理由の一つです。幹線道路側には外廊下が面し外廊下側の洋室の窓は二重サッシュと防音レジスター( 吸気口 )で防音対策を講じていました

さて,前置きはこの位に致しまして,この物件の売主と販売会社の対応に感心しましたので,そのお話を致します。

このマンションの構造は先程も書きました様に,アウトフレーム逆梁工法の建物です。

そして,バルコニーの形状がベイバルコニー( 外壁面より凹んで入江のように三方を囲まれた形状 )になっており,その脇のリビング・ダイニング( LD )や洋室の外壁面がバルコニーの手摺面と同一になっており,LDや洋室の窓の外側にはバルコニー状のものが有りません。

ですので,LDや洋室の窓下の壁面内側に逆梁工法の大梁が床から約70センチ程度立ち上がっております。

詳しく御説明致しますと,LDと洋室外壁面の窓は腰窓( 窓下に高さ80センチ~1m位の壁が有る窓 )で窓の下端が床面より約1m位でその外側にはバルコニー等が有りません。私が問題視致しましたのは,腰窓の外にバルコニー等が無く,腰窓下端が床面より高さ約1mの腰壁になっており,窓下約30センチ( 床面から高さ約70センチ程度 )の所に大梁( 逆梁工法なので )が室内に奥行き約30センチ程度出っ張っていた事です。

モデルルームのLDのこの壁面にソファーが置かれておりました。とっさにいつもの癖で販売員の方に「 この窓を大きく開けたら子供がソファーの上に登ったら転落が予想されますね。窓に開度調整器を付けないと危ないのではないですか?若しそれが出来ないのであれば今のクレセント( 引き違い窓サッシュ等の半月形の締め金具 )を有償でも良いですので鍵付きクレセントに付け替えて戴けませんか…? 」と質問致しました。

判り易く御説明致しますとLDの外壁面窓下の腰壁が逆梁の出っ張りの為に階段状になっております。その壁にソファー等の家具を置きますと,幼児や子供はソファーに登り,ソファーの背もたれを足がかりにして,張り出している腰壁の一部( 逆梁部分 )の上に登り,窓が大きく開けてありますと転落する恐れが大であるという事です。

販売者は「 後日即回答致します。 」と言われたので,私は「 今日は時間が無いので次週またモデルルームを細かく拝見致しますので,その時に回答し書面にして下さい。御願い致します。 」と申し上げました。私は「 現地同行 」チェックや「 内覧会同行 」チェックの時は常に質疑事項の回答を書面でもらっています。後々,言った,言わないで揉めたくないのでその様に証拠を残しています。

娘夫婦には小学校低学年の男の子が居まして,とても危険と感じました。娘には「 来週一緒にまた来るから回答に依ってはこの物件の購入は止めた方が良いよ。 」と伝えました。

次週に販売事務所・モデルルームに行きましたら,直ぐに先日の販売担当者の方が設計事務所の方と一緒に出てこられまして「 先日,御指摘の件,早速売主と検討してこの“ 開口制限ストッパー ”を標準装備に致しました。 」と私におっしゃって見せて下さいました。
どの様なものかはURLをクリックして見て下さい。

http://www.fujisash.co.jp/hp/product/buil/manual/pdf_b540/b54015.pdf

このPDFの18ページに鍵付きの“ 開口制限ストッパー ”が載っています。

販売担当者の方は「 売主に碓井様の御意見を伝え,判断を仰ぎ転落防止対策は最優先ですので早急に設計事務所にこの金物を探してもらいました。鍵付きですので窓を10センチ開けてストッパーを手前に出して鍵をかければとても安全です。また,サッシュは共用部分ですので1住戸だけに付けるのは区分所有法に抵触致しますので,全戸のこの様な窓に標準設置致しました。 」と胸を張って私に回答して下さいました。

恥ずかしながら,私は鍵付きのこの様な金物を見ましたのは初めてで感動致しました。これなら,私も娘夫婦も安全だと思い安心しました。

ちなみにPDF15ページに載っている “ サブロック ”はよく拝見していましたが,この鍵付き “ 開口制限ストッパー ”は初めて見ました。

私は「 現地同行 」チェックの時にこの様な窓を見ますと,安全対策を販売者に質問致しております。ほとんど回答は「 全て売主がこれで良いと決めた事ですから特段に何も対策は致しておりません。入居者御自身が注意すれば良い事です。 」でした。そういう場合は,私は常にその物件購入はお奨め致しませんでした。こちらが人命にかかわる正当な警鐘に対して,前向きな回答の無い販売会社や売主が分譲するマンションの内容は低レベルなものだと私なりに判断致します。

ですので,今回,私が安全性に疑問を持ち質問した事項を販売会社の販売担当者は真摯に受け留め,子供の安全性を重視し,売主を説得してこの金物を標準装備にした事は画期的な事です。今回の販売事務所,売主や設計事務所のクイックレスポンスには頭が下がりました。

私は普段このコラムでは「 売主名 」等を書きませんが,今回はあえて公表させて戴きます。

このマンションの売主は「 丸紅 」で販売会社は「 丸紅不動産販売 」です。設計及び施工は「 株式会社 NIPPO 」です。正直,こちらのかなり細かい質問に書面で回答して下さったのには敬服致しました。

「 物件名 」は申し訳ございませんが,娘夫婦のプライバシーに関わるので,公表を差し控えさせて戴きます。

尚,娘夫婦は先日この新規分譲マンションの購入契約を済ませました。
来年,竣工後引渡し前の「 内覧会 」がとても楽しみです。

補足ですが,7月21日に最高裁判所が欠陥住宅に対して住人の損害賠償請求が可能なのは「 現状では危険が無くても放置すれば将来的に住人らの生命や身体,財産に危険が生じる程度で足りる 」との判決を下しました。

住まいの安全性は命に関わる事で売主の最重要課題です。派手なインテリアのモデルルームよりも目立たないこの様な所に気遣いが有る物件を購入されるのが良いのではないかと私は思います。

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