トイレの排水チェックは重要

今回は私事で恐縮ですが,私はこの処娘夫婦が新規分譲マンション購入を検討しているので「 親馬鹿 」ぶりを発揮し,付き添って「 青田売り 」( 未完成の時期に販売する手法 )マンションのチェックを行っており,その中で気付きました重要な事をお話致します。

先日,見ました新規分譲マンションの販売図面集の中の住戸プランの1つがワイドスパンで良い間取りでありましたので「 これは良いよ 」と娘に言って販売員の方にお願いし,設計図書をチェックさせて戴きしました。

しかし,よく注意して見ますと,そのワイドスパン住戸のトイレ用の竪排水管が通っているパイプシャフト( PS )が,トイレより約3m強離れているのに気付きましたので,規定の排水勾配が確保されているかの不安を感じ,販売員の方に技術的な話ができる方を呼んで戴く様に御願いいたしました。

その物件の建築と設備担当の方に詳しく聞きましたら,規定の排水勾配は確保されておりまして安心致しました。以下,この件に付いて詳しく御説明をさせて戴きます。

通常,マンションのトイレ用の竪排水管は上記の様にトイレの直ぐ脇か後ろに有ります。

その理由は,便器排水口から竪排水管までの間をつなぐ横引き排水管を短くし,排水勾配をなるべく大きく確保する為です。この横引き排水管が長いと排水勾配が小さく緩く,水平に近くなり便器の排水が詰まり易くなるからなのです。

尚,日本の便器は排水方式が下抜きと後抜き,2種類有りまして,今回の物件は下抜き方式でしたので,その点で不安を感じました。ですので,今回のコラムは便器の排水方式が下抜きのタイプに限定して御説明致します。

通常,便器の横引き排水管の太さは直径7.5センチの塩ビ管を採用致しております。

直径7.5センチの横引き排水管の排水勾配は1/100以上( 管の長さ1mにつき1センチ以上の高低差 )と空気調和・衛生工学会で決められています。更に,この数値を守る様に国土交通省は「 建築基準法施行令第129条の2の5 」でしっかりと規制しています。

拡大解釈をすれば,上記の排水勾配が確保されていない場合は「 建築基準法施行令第129条の2の5 」を遵守していないので,欠陥建物と認定される事が生じ「 宅地建物取引業法 」( 宅建業法 )に抵触する可能性が大という事です。

さて,話を元に戻しまして先程の購入検討物件の建築と設備の担当者が来てくれましたので早速,便器用の竪排水管が約3m強離れていますので,横引き排水管の排水勾配が1/100以上確保されているか否かを質問致しました。そして便器から竪排水管までの「 断面図 」を書いて戴く様に御願いいたしました。

結論を先に申し上げれば,横引き排水管の排水勾配は約13/1000( 長さ1mにつき1センチ3ミリ )確保されて規制値をクリアーしていました。

更に,詳細に御説明致しますと,このマンションの二重床の高さが「 スラブ 」( コンクリート床板 )から23センチ確保( 一部 )されていましたので,13/1000の排水勾配が確保できたのです。内訳寸法を申し上げれば,便器の有る床面より下に有る横引き排水管の芯までの寸法が12.5センチで,竪排水管に接続する箇所の横引き排水管の芯は「 スラブ 」面より上6.5センチです。

二重床高さ23センチですから23センチより12.5センチプラス6.5センチ( 19センチ )を差し引きますと高さ4センチの高低差がとれる空間が有り,この高低差4センチを横引き排水管の長さ3.1mで割りますと排水勾配が約13/1000になり,1/100以上確保されていました。

私は最初にこの物件の「 矩計図 」( かなばかりず:建物の主要な部分を上下に切断した断面詳細図 )を見て二重床の高さが「 スラブ 」上13センチとなっていましたので不安を感じたのです。処が,トイレから竪排水管までの部分は「 スラブ 」を更に10センチ下げて二重床の高さが「 スラブ 」上面から23センチに設計をしていたのが図示されていませんでしたので不安だったのです。

言い訳になりますが「 構造図 」が有れば直ぐ分かったのですが,販売事務所には「 意匠図 」しか有りませんでしたので,その住戸内の「 スラブ 」の一部が10センチ下がっている事に気付きませんでした。

逆に,二重床高さが「 スラブ 」上面より13センチのトイレの場合は直ぐ脇か後に竪排水管が有っても,排水勾配1/100の確保がかなり困難である事に,今更ながら気付いた次第で,お恥ずかしい限りです。

この物件,結果オーライなので,娘にお奨め物件と伝えました。

トイレは毎日絶対に使う重要な場所なので,排水勾配を算出し,詰まり易いかどうかをチェックする事は重要な事です。

この件は売り手側はその場でなかなかチェックし,証明して戴けない場合が多いのです。

その様な時には私に「 現地同行 」チェックを御依頼下さい。入念にチェック致しますので…。

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