設計者泣かせの売り主の指示

平成23年の松の内も明け,皆様ももう通常勤務になり大変忙しくなったのではないかとお察し致します。

今回は,最近「 購入相談 」や「 現地同行 」チェックで購入者から「 設計した会社はどうですか? 」との質問を受けることがあり,設計に関心が高まっていますのでそれについてのお話を致します。

以前は購入者が設計者の良し悪しを聞く事は少なかったのですが,この処「 購入相談 」等の依頼者レベルが高く「 設計事務所 」をかなり気にする様になってきました。

しかし,設計という要素は,マンション選びにおいて「 売り主 」に比べれば,本当に小さなものだからです。いい設計も悪い設計も,要は売り主次第といっても過言ではありません。
 
私が大手設計事務所の社員として、設計をしていたころのエピソードを紹介しましょう。

超大手デベロッパーの依頼で10階建てマンションの設計をした時の話です。

そのマンションは日影規制の関係で最上階の北東部分の屋根が斜めになってしまいました。その為に,最上階の北東角住戸内の北側の部屋には天井が斜めになる部分が発生致しました。

その部屋の天井で一番低い所は天井高さが1.4mしか確保できませんでした。それで,私はその部屋の中で天井高2メートル未満の部分を収納スペースとして「 納戸 」に致しました。その結果,その部屋の広さは5帖と「 納戸 」2帖になってしまいました。
 
それを見て,超大手デベロッパーの担当者が設計の見直しを強く指示してきたのです。「 天井高1.7メートルまで生活のスペースにしても問題がない。その分狭くなる納戸はクローゼットにしろ。 」という内容でした。その様にすれば1.5帖も部屋が広くなり6.5帖表示ができて,購入者をひきつけられるというわけです。

私は「 天井高1.7メートルでは頭をぶつける心配があります。 」と反対しましたが,超大手デベロッパーの担当者は「 何でも言う事を聞く設計事務所は沢山あるから降りても良いですよ。 」と聞く耳を持ちません。仕事をもらっている身としては,指示に従うほかはありませんが,私は私の在籍している会社の名前に傷が付くと思い「 会社に戻って上司と相談させて下さい。 」とその場での了承を避けました。

会社に戻ってから,この件を社長と営業の専務に話しましたら,社長は「 その分譲マンションの物件概要の設計欄に当社の名前が載るのだから,その様な設計を強要するデベの仕事は断った方が良い。 」と言われ,営業の専務にそのデベとの設計契約の解除を指示致しました。社長からは「 碓井君,事前に相談してくれて有難う。 」と言われ,こういう事は事前に社内で事前相談すべきだと確信を持ちました。

この件以外にも,良いと思った方向に設計を進めても売主の判断で全く180度違った商品企画・基本計画をやらされることは多々ありました。
 
設計を生かすも殺すも売り主次第。設計をやってきた者の実感です。販売図面集を良く見て売り主の良し悪しをよく見極めてください。

もし,販売図面集の中にこの様な住戸が有りましたら,そのデベの体質に疑問を感じ,他のデベの物件を検討して下さい。

何度も申し上げていますが,マンション購入は一世一代の高価な買い物ですので価値観の低いデベの物件を購入しましたら一生後悔致します。

販売図面集を見ても,分らなかったら私に相談してください。いつでもお答え致します。

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