「 現地同行 」チェックでの「 優 」物件

私の「 現地同行 」チェックで久々に「 優 」の物件が出ましたので,御知らせ致します。

私の厳しい「 現地同行 」チェックで高得点を上げ「 優 」になった物件は今年では初めてです。

私の「 現地同行 」チェックのチェックリストは100項目以上チェックポイントが有ります。チェックコンテンツは8コンテンツで「 立地環境評価 」「 全体計画評価 」「 住戸計画評価 」「 空間計画評価 」「 構造計画評価 」「 設備計画評価 」「 性能( 耐震対応,遮音対応,防犯対応等 )評価 」と「 仕様( 仕上 )評価 」になっております。

コンテンツごとに細かくチェックポイントが有ります。

まず,マンションが建つ現場周辺のチェックです。次に販売事務所で「 設計図書一式 」( 意匠図,構造図,電気設備図,給排水衛生設備図,空調換気設備図 )を閲覧させて頂き,チェックリストに記入致します。このチェックリスト記入では私情は一切入れずに「 設計図書一式 」を見て機械的にチェックポイントの何処に該当するかを記入し,最後に集計し,総合点を出します。その総合点に依ってその物件評価が「 秀 」「 優 」「 良 」「 可 」「 不可 」のどこに当てはまるかが決まります。

同一のマンションでも,住戸のタイプが違えば点数は上下致します。今回の依頼者の住戸タイプは「 優 」でしたが,他のタイプの住戸でしたら「 優 」にならない可能性が生じます。

それでは物件名を紹介致します。物件名は「 ドレッセ藤が丘 」で事業主( 売主 )は「 東京急行電鉄 」,設計・監理は「 東急設計コンサルタント 」で施工は「 東急建設 」です。

最寄駅は東急田園都市線「 藤が丘駅 」で,そこから徒歩1分の立地です。通常,最寄駅より徒歩1分の場所は「 商業地域 」であまり環境が良くないですが,ここは「 第二種中高層住居専用地域 」で,住宅街の一角に有ります。東急田園都市線は急行が通過し止まらない駅はほとんど,駅周辺から住宅街になっているケースが多いのです。

物件概要は総戸数83戸,構造規模は鉄筋コンクリート造,地上5階,地下1階建です。

依頼者より「 現地同行 」チェックの申し込みフォームがきました時に物件名を見て,インターネットで「 ドレッセ藤が丘 」のホームページ( HP )を出し「 物件概要 」を隅から隅まで見ましたが「 施工会社 」は「 東急建設 」と書いてありましたが,「 設計会社 」欄が有りませんでした。

この件については大手デベ,中堅デベにかかわらず,ほとんどの物件のHPの「 物件概要 」ページには「 設計会社 」の欄が無く,設計者を軽視しているとしか思えないので,私はとても不満を感じています。是非,物件のHPの「 物件概要 」ページに「 設計会社 」の欄を入れて設計会社を記入して欲しいと願います。

設計会社が分ったのは依頼者と御会いして,御持参頂いた「 物件資料一式 」の中の「 販売図面集 」の「 設計・監理 」欄に「 東急設計コンサルタント 」と書いて有りました。それを見てびっくり致しました。「 東急設計コンサルタント 」は私が10年前まで在籍し,設計部長をしていた会社です。ちなみに,元居た会社だからと言って,甘い点数は付けませんでした。

モデルルームを見た感想は,地味でオプション仕様はほとんど無く,標準仕様のスッピンに近いインテリアでした。東急電鉄の質実剛健さが伝わってくる,空間構成でした。他の大手デベの絢爛豪華なオプションだらけのモデルルームよりも簡素で,奥様方の「 衝動買い 」の意欲を起こさせる雰囲気とは程遠かったのです。

モデルルームチェック後に「 設計図書一式 」を閲覧させてもらい,各チェックポイントを私のチェックリストに記入致しました。「 立地環境評価 」「 全体計画評価 」「 住戸計画評価 」「 空間計画評価 」「 構造計画評価 」「 設備計画評価 」「 性能( 耐震対応,遮音対応,防犯対応等 )評価 」までは平均点より上で「 仕様( 仕上 )評価 」だけが平均点より下でした。私は内装の仕上げはあまり重要視していません。壁紙等はいつでも簡単に貼り直せるからです。

それよりも,構造,設備や遮音性等,入居してからは直せない所を重点的にチェック致します。この物件は「 東急電鉄 」の厳しい設計基準に則って「 東急設計コンサルタント 」が設計していますので,図面を見なければ分らない表面に現れない大事な所にお金をかけていまして感動致しました。この様に一般の方が評価できない所にお金をかけ,遮音性の向上や将来のメンテナンス等に費用がかからない仕様等で設計されており感心致しました。これらを「 東急電鉄 」が販売トークに使っていなかったのでもったいないなと思いました。

さて,この物件全てが良いとは言えませんでした。配棟が「 コの字型 」で,南東向き棟,南西向き棟と北西向き棟がありました。田園都市線の「 藤が丘駅 」周辺で北西向きの棟は良いとは言えません。北西向きの棟はディンクスかシングル向けですが,もっと都心ならば止むを得ないですが,この郊外立地ではファミリー層にはお奨めできません。

私ならば,この北西向きの棟のプランは「 雁行型 」にして西向き棟にしたと思います。
「 雁行型 」とは住戸を階段状にずらして配置したもので,ずらした住戸全てが3面通風採光になりますが,外壁やサッシュが多くなり工事費が割高になります。過去に「 宮崎台駅 」徒歩圏のマンションでその様にして完売させた経験が有ります。

ここで,もし私の「 現地同行 」チェック依頼者の購入予定住戸がこの北西向き棟の住戸であればチェックリストの総合点はかなり低く「 優 」にはなっていなかったと思います。

今回の「 ドレッセ藤が丘 」の「 現地同行 」チェックで久々に「 東急設計コンサルタント 」の図面を見てなつかしくなりました。特に意匠設計図の建具表に昔私が作った建具の「 特記仕様 」( 各々の工事に特有な事項を記載した仕様 )がほとんどそのまま書いてあったのを見た時には嬉しくなりました。

マンションの評価は住戸タイプに依っても異なります。高額な買い物ですのでなるべく設計のプロにチェックさせる事をお奨め致します。よろしければ私へ御依頼下さい。

尚,今回コラムの中で取り上げた「 東急電鉄 」「 東急設計コンサルタント 」と私とは現在,全く何の利害関係も有りませんので,その事を念頭に置いて読んで頂きたいと存じます。

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