LDの出入口扉の開き勝手に要注意…。

この処,新規分譲マンションの住戸の広さ(専有面積)が狭くなっている傾向が見られます。

最近の総戸数30戸くらいの分譲マンションでは1LDKから2LDKがほとんどで,妻住戸( 建物の端に有る住戸 )のみ3LDKというケースが多いのです。その妻住戸の3LDKの広さもコンパクトで専有面積は70平方メートル未満がほとんどです。

この様なマンションの販売物件資料に入っている販売図面集を開き,3LDK住戸のプランをチェック致しますと,LD( リビング・ダイニングルーム )の狭さにびっくり致します。

通常,マンション設計の業界では3LDK住戸のLDの広さは,住戸専有面積の25%以上が常識と言われています。

例えば,住戸専有面積が70平方メートルですとLDの広さは17.5平方メートル( ≒10.8帖 )以上必要になります。ちなみに不動産公正取引協議会ではマンションの場合1帖=1.62平方メートルとしています。

処が最近は,先程も申し上げた様に専有面積70平方メートルの3LDK住戸のLDの広さが10帖程度か9帖強がほとんどです。

LDには,ダイニングテーブルと椅子,ソファセットとティーテーブルやサイドボード等,かなりの家具を置きます。設計者がLDにそれらの家具を想定配置し,出入口扉を内開きに致しますと,狭いLDでは多々問題が出てくる事が有ります。

そうなりますと,こだわりの無い設計者は安易にLD出入口扉の開き勝手を,廊下側へ開く外開きにしてしまいます。

LD出入口扉の外開きは,使い勝手が悪く危険性も高いのです。

奥様が買い物をして重い荷物を持ってLDに入る時,出入口扉の把手を持って後ずさりし,手前に開けて入り,また後ずさりして出入口扉の把手を引っ張って閉めなければなりません。とても不自由です。

また,LDに入ろうとした時に子供が勢い良くLDから出てきますと,LDに入ろうとした人はモロに出入口扉に身体をぶつけてしまいます。へたをすれば怪我になる事もありえます。

本来,住宅の扉の開き勝手は内開きが原則です。日本の住宅はほとんど玄関扉とトイレの扉は外開きになっていますが,欧米では全ての部屋の扉は内開きです。

理由は外敵の侵入に対抗するには,扉を部屋内から押して侵入を阻止した方が,扉を引っ張って侵入を阻止するよりも外敵侵入の阻止がし易いのです。

では何故,日本のマンションの玄関扉の開き勝手が外開きになったかと申しますと,住戸内で火災等が発生した場合を想定し,法規で非難方向( 外部方向 )に開く様に指導されているからです。

トイレ扉の開き勝手が外開きになったのは,20数年前からで,日本のトイレは狭いので,中で老人等が扉側に倒れた時に内開き扉ですとなかなか開けずに,直ぐに救出が不可能なので外開きにして救出をし易くした為なのです。

ですので,マンションの玄関扉とトイレ扉の開き勝手が外開きはそれなりの理由が有りますので納得できますが,LDや洋室( 寝室 )の出入口扉の開き勝手が外開きになっているのは設計者の力量不足としか言い様が有りません。購入者への配慮が欠如しているのです。

この様な設計者の力量不足のマンションを購入したら悲劇です。扉の開き勝手以外の箇所にも配慮不足が多々潜んでいるケースが多いのです。それを容認するデベもイマイチです。

建築に素人の方でも簡単にチェックできる所ですので,マンション購入前に販売図面集の各住戸プランを良く見てから契約して下さい。それが一世一代の高額な買い物への自己防衛のひとつです。

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