「 地下住戸 」は集中豪雨に弱い

最近,日本中のあちらこちらで集中豪雨が発生しておりますので,今回は集中豪雨には弱い「 地下住戸 」のお話を致します。

「 地下住戸 」付きマンションが多い立地は「 第1種低層住居専用地域 」です。理由は「 第1種低層住居専用地域 」では建物の高さ制限がほとんどの場所で地盤面から10m以下で容積率( 法定延床面積/敷地面積 )100%~150%という規制が有り,建物は通常,地上3階建てまでしか建てられません。ですから,販売する専有面積が少なくなり「 建築基準法52条3項 」の「 地下住戸 」の容積緩和( 地下住戸面積の大部分を法定延床面積に算入しない緩和措置 )を適用して「 地下住戸 」を作り,専有面積( 販売面積 )を増やして,収益を上げるからなのです。

尚「 第1種低層住居専用地域 」は低層住宅の良好な住環境を守るための地域で,12種類の用途地域の中で最も厳しい規制がかけられていますので住むには最も適した地域です。

私も過去に「 第1種低層住居専用地域 」に3階建て( 地下住戸無し )のマンションを数件設計した事があります。「 地下住戸 」無しで容積率100%地域ですと,専有面積が敷地面積より少なくなり,想定販売坪当り価格が高くなり,高級マンションになってしまいました。

その数件の中の1件が竣工引渡し1ヶ月以内に1時間に150ミリの集中豪雨が発生し,クレームになってしまいました。そのクレームとは駐車場が深さ約30センチ強程度冠水し,車が水に浸かってしまったのです。クレームが出たマンションは「 コの字型配棟 」にし,中庭に駐車場を配置致しました。そして住戸前に駐車場がありますと,目障りだと思い,駐車場を地盤面より約50センチ下げたのです。そして駐車場の地盤は役所の行政指導に依り「 雨水浸透型アスファルト舗装 」仕上げとし,公道の雨水排水側溝へ排水できなかったのです。

この車が目障りにならない様に駐車場を下げた配慮と役所指導の「 雨水浸透型アスファルト舗装 」だけの排水が原因で集中豪雨の雨水の浸透するスピードが遅く,結果的に駐車場がプール状態になってしまったのです。

上記は駐車場の被害で済みましたが,集中豪雨が発生しますと「 地下住戸 」はもっと深刻です。その後入居者( 管理組合 )がその駐車場に雨水排水枡を数箇所設け,公道脇の雨水排水溝に接続したそうです。

「 地下住戸 」の生活排水( 便所,浴室や台所等の排水 )の処理は,大雑把に言えば一旦貯留槽に入れ,そこから公道に埋まっている公共下水道管へ排水ポンプで流しているのです。

私の住んでいる区は,インフラ整備( 生活基盤となる上下水道や道路等の整備 )がかなり遅れています。集中豪雨が発生致しますと低地や窪地のマンホールの穴から下水が噴水の様に噴出して道路周辺は池状態です。ちなみに,気象庁には集中豪雨の定義は有りませんが,降雨量が1時間に雨量30~50ミリを超える場合集中豪雨と呼んでいるそうです。

話を「 地下住戸 」に戻して簡単に御説明致しますと「 地下住戸 」は集中豪雨が発生し,公共下水道管が満杯になりますと,生活排水をポンプで強制排水致しましても逆流し,下水が住戸内に入ってくる危険性が大きいという事です。

実際に数年前,私の住んでいる区に建てられた大手デベのマンションが集中豪雨により「 地下住戸 」が下水で水浸しになりました。そして周辺住民の語り草になり,そのマンションは「 地下住戸 」だけでなく,マンション全体の資産価値が下がったそうです。

良心有るデベは大手,中堅を問わずインフラ整備が整っていない場所には「 地下住戸 」は作りません。大手デベだからと言って安心はできません。

最後にマンションの「 地下住戸 」で注意をして戴きたいのは河川の近くの立地です。その立地の役所に有る「 ハザードマップ 」( 過去に破堤,氾濫等の浸水が有った場所の地図 )を見て過去に浸水した場所であれば避けて下さい。国土交通省の全国の「 ハザードマップ 」が載っているサイトのURLです。参考にして下さい。

http://www1.gsi.go.jp/geowww/disapotal/index.html

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