「 耐震ラッチ 」は必要不可欠に…。

最近また,地震の発生が増えてきましたので今回はマンションでの地震対策についてお話致しましょう。

マンションの住戸内での地震対策でよく見かけるのが「 耐震ラッチ 」の設置です。

「 耐震ラッチ 」と言っても御存知無い方に「 耐震ラッチ 」とはどういう物なのかを御説明致します。

「 耐震ラッチ 」とは, 地震の発生時に感知センサーが揺れを瞬時に感知し,開き扉や引出しの開放を防ぐ器具です。地震の揺れが収まるとロックが自動解除されて開き扉や引出しの開閉ができるものです。

現在の感知センサーは震度約4~5位で感知し,開き扉が開かない様にしてあり,引出しはとび出さない様にセットしています。

当初,この「 耐震ラッチ 」は主にマンションの住戸のキッチンの吊り戸棚に設置され,地震時に吊り戸棚が開き,頭上から中の物が落ちて怪我をしない目的で付けられました。開き扉仕様だけで,現在の様に引出し仕様のものは有りませんでした。

阪神淡路大震災が起きた1995年( 平成7年 )1月頃の「 耐震ラッチ 」は出来が悪くあまり機能しなかったと聞いておりますが,それから15年経った今はだいぶ改良されて良くなったと言われています。

さて,私が「 内覧会同行 」チェックを致しますと,未だに「 耐震ラッチ 」がキッチンの吊り戸棚にしか設置されていないケースが多いのです。他の場所に設置してある吊り戸棚や天袋( 部屋の上部,天井面に接してつくられる収納 )には設置してないのです。

この様な場合,私はそのマンションの売主( デベ )と設計担当者の方に来て戴き「 設計思想が一貫していないで矛盾しているのはどうしてですか…? 」と質問致します。デベの回答は「 モデルルームと同じです。 」です。これは常套句です。そして設計担当者は何も回答せず無言です。

デベから「 モデルルームと同じです。 」という回答が出ますと,私は「 御社はモデルルーム竣工時点に検討会をしないのですか? また,設計基準書に全ての吊り戸棚等に“ 耐震ラッチ ”を設置する事を謳っていないのですか? 」と聞き返します。

そうしますと,ほとんどのデベは納得して,他の場所の吊り戸棚等にも「 耐震ラッチ 」を僅かな費用( 総額約2~3千円位 )で設置してくれます。たまにデベから「 碓井さんの理論の方が正しいですので,この御宅だけ無料で設置致します。他の住戸の方々には絶対に言わないで下さい。 」と言ってくる事が有ります。

内覧会同行チェックの依頼者は喜びますが,それを受け入れますと私や依頼者はデベに負い目を感じますので,依頼者に「 僅かな金額でも払った方が気持ちいいですよ。 」と言って2~3千円程度デベに払ってもらいます。

前置きが長くなりましたが,ここで今回の本題に入ります。最近の様に頻繁に地震が起きているので「 耐震ラッチ 」は吊り戸棚等だけでなく,住戸内の収納扉や引き出し全てに設置すべきだと思います。

特に収納扉は丁番のスプリングの力だけで閉まっていますので,揺れの大きな地震が来ますと収納内に置いてある重い物が移動し,収納扉を内側から押し開ける危険性が有ります。

住戸内の収納扉や引き出し全てに「 耐震ラッチ 」を設置した場合の費用を大雑把に計算致しますと「 耐震ラッチ 」1個の上代価格( じょうだいかかく:定価 )は約500円~600円程度ですが下代価格( げだいかかく:現場納入価格 )は約200円~300円位です。それに工賃を入れたところで1住戸当りの建築費の上昇は僅か約3000円~5000円位です。この位の金額で地震時に怪我を防げるのなら安いものです。更にデベにとってはセールストーク( 販売にあたって客の購入意欲をかきたてるような話法・話術 )で謳えます。

このコラム268号『 マンション共用部分の「 事業仕分け 」 』で私が書いた様に,ほとんど使用されない共用施設を設置するのをなるべく止めて,住戸の方に建築費を廻す方が購入者にとっては良いのです。

その一環として住戸内の収納扉や引き出し全てに「 耐震ラッチ 」の設置は必要不可欠だと思いますが如何でしょうか…。

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