地下の「 トランクルーム 」には要注意…。

今回は収納に配慮したマンションのお話を致しましょう。

良心的なデベが供給する分譲マンションは商品企画( 基本計画 )の時点で収納に配慮しております。

収納を少なくして,部屋を広げ,帖数稼ぎをするデベは要注意です。

通常,分譲マンションの設計者は住戸専有面積の8%を適正収納面積としてマンションの基本計画を行っています。

この8%の収納面積にはLDの電話台下の収納,流し台や洗面化粧台の中の収納部分は含みませんが,屋外で使用する泥物を収納する「 トランクルーム 」や「 シューズインクロゼット 」の面積は算入致します。

最近の分譲マンションの多くは住戸玄関周辺のメーターボックス脇に「 トランクルーム 」を設けているケースが多いのです。この位置にある「 トランクルーム 」は主にアウトドア用品やゴルフバック等を収納いたしますので鍵付きになっています。

「 シューズインクロゼット 」は住戸玄関内の脇に土間続きで設置していますが,ほとんどのケースでは靴を収納する棚のみで,アウトドア用品やゴルフバック等を収納するスペースが見当たらない事が多いのです。良心的なデベは玄関に「 シューズインクロゼット 」を配置しても「 下足入れ 」を更に玄関土間脇に設置しています。

その様に致しませんと靴を履いたりする時に裸足か靴下のままで土間を歩いて「 シューズインクロゼット 」までいかなければなりません。これは入居者への配慮不足です。

さて,今回のコラムの本題である地下階にロッカー状にまとめて設置してあります「 トランクルーム 」に関して申し上げます。

私が過去に地下階に「 トランクルーム 」を設置し,クレームになった失敗例を御説明致します。

その失敗例を具体的に御説明致しますと,マンションの地下1階に羊羹の輪切りの如くロッカー状に各戸の収納庫を全住戸数,配置した「 トランクルーム 」を作り,24時間連続換気設備を設置しましたケースです。

各戸の収納庫の両脇の隔て壁は耐水性の高いボードを使用し,その上部と下部には高さ30センチ位,通風の為にビニールコーティングされたワイヤーメッシュを使用しました。扉は床から10センチ上から天井下10センチまでの高さのパネル状の物を使用して住戸の玄関のキーで開けられる鍵を設置致した仕様に致しました。

そのマンションが完成し,入居後1ヶ月でデベからクレームがきました。そのクレームの内容は入居者が地下の「 トランクルーム 」に収納した絵画にカビが発生したとの事でした。

早速,そのマンションの「 トランクルーム 」に行きましたら,かなりカビ臭いのです。空調設備設計者を呼んで換気量の測定をしてもらいましたが問題無しとの回答です。「 地下は地中の水分をコンクリートが結構吸収するので換気効率を上げないと,この様な現象が起きてしまったのだろう 」と空調設備設計者に言われました。地下階の外壁は二重壁にしてありましたので私も空調設備設計者も大丈夫だろうと予想していましたが,この様な結果になってしまい参りました。そこで気休めに大きな除湿機を2台設置して入居者に納得してもらいましたが,あまり効果は有りませんでした。

その,数年後に他のデベから地下階に「 トランクルーム 」を設置して欲しいと言われ,過去の事例を説明し断りましたが,そのデベはそうならない様な地下階の「 トランクルーム 」を設計して下さいと指示してきました。

私はその指示を受け直ぐに空調設備設計者と協議致しました。協議の結果,羊羹の輪切りの如くロッカー状になっている各戸の収納庫の隔てや扉,全てをビニールコーティングしてあるワイヤーメッシュ仕様にする事に致しました。換気設備は24時間連続換気設備をまた設置致しました。

そして,各戸の収納庫が配置されている「 トランクルーム 」の出入口扉は大きな給気口付きで各住戸キーで開く鍵を設置したスチールドアに致しました。この扉の大きな給気口には火災が発生した時に開口部を塞ぐ「 ファイヤーダンパー 」を付け消防署に認可してもらいました

その仕様をデベに伝え更に「 トランクルームに入ると各住戸の収納庫内の収納物が見えてしまいますが,コストとの兼ね合いでこの仕様しかクレームが出ない方法は考えられません 」と申し上げ承認してもらいその様に建設致しました。

そのマンションの地下階の「 トランクルーム 」はもう10年以上経ちますが,未だにクレームが出ていません。

地下階に「 トランクルーム 」が有るマンションを購入する場合は「 カビ対策 」を販売担当者に良く聞いてから,購入するかを判断して下さい。

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