斜面地に建つマンション

今回は斜面地に建つマンションについてのお話です。

事前にお断りしておきますが,私は意匠の建築設計者で,構造設計者ではないので今回のお話は大雑把な御説明になりますので御了解下さい。

マンションが建てられる広さの用地で「 真平ら 」な土地はほとんど有りません。

例えば,敷地面積が2000平方メートル( 600坪強 )で,敷地の寸法が50m×40mの土地が有ったと致します。大抵この位の広さの土地の両端では地盤の高さが約30センチから50センチ位は高低差が有ります。敷地の勾配は約1/100程度です。

これより広い敷地面積5000平方メートル( 1500坪強 )で敷地の寸法が100m×50mですと地盤の高低差は大抵,両端で約50センチから1メートル位は有ります。これでも敷地の勾配は1/100程度です

この程度の勾配の地盤の高低差は平らな土地とみなして我々意匠設計者は斜面地とは言っておりません。

しかし,敷地面積が約2000平方メートル位で地盤の端部と端部の高低差が5メートル以上も有りますと敷地の勾配は約1/10強です。傾斜角度に直しますと約6度から7度です。

敷地の地盤の傾斜角度が6度から7度有りますと我々は斜面地と呼んでいます。

判り易く御説明致しますと,通常ファミリーマンションの奥行き寸法は16m位です。マンションの廊下側の地盤が1/10勾配で上がっていますと廊下側では1階層の半分の高さが土の中に埋まってしまいます。1階層の階高( 床面よりその直上階の床面までの高さ )は約3mです。

この程度の傾斜角度の地盤でしたら,許容範囲に入るかな…って思います。

処が,先日あるマンションの「 購入相談 」を受け,メインパンフレットの構造のページを見ましたら建物のメインバルコニー側の地盤より廊下側の地盤が6mも高くなってかなりの急斜面にマンションを建てていました。

高さ6mと言えばマンションの2階層分の高さです。建物両脇の地盤の傾斜角度は約20度弱です。スキー場とほぼ同じ傾斜角度ではないかと思います。

そして,そのマンション,地盤の高い方に接している建物の外壁を厚くして,土圧( 土と接する構造物のある面に及ぼす土の圧力 )に抵抗し,急傾斜の地盤を支えていたのです。

建築確認申請が認可されていますので,構造計算上問題は有りません。
何か問題が生じても「 合法ですので天災です 」で処理されてしまうと思います。

しかし近年大きな地震や予想もできない大雨が地球上の各地で起こっています。

この様な急斜面に予想外の大雨が降りましたら建物への土圧が大きくなりますので何が起こるかが心配です。更に建物周囲の地盤崩れの発生の可能性が大きいと予想されます。

私の「 購入相談 」でのこの物件の回答は上記の件を説明しまして「イエローカード」でした。あとは相談者の判断に任せました。

急斜面地に建つマンションは将来,何が起こるか分りませんので「 君子危うきに近寄らず 」だと思います。

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