住戸内の間仕切り壁の仕様や工程は…。

今回は新規分譲マンションのメインパンフレットに掲載されていた「 仕様説明 」についてのお話を致します。

その「 仕様説明 」には『 この物件は住戸の「 二重床 」「 二重天井 」の工事を先に行って,その後住戸内の「 間仕切り壁 」の工事を致しております。その様にすれば将来,間取りの変更等の時に「 間仕切り壁 」の位置移動がやり易くなります。』と「 挿絵 」付きで書かれていました。

この「 仕様説明 」を読みますと,素人の方はいいなって思うでしょうが,私共建築に携わっている者にとってはとても疑問を持つ事なのです。

「 二重床 」「 二重天井 」の工事を先行してその後,間仕切り壁工事をする事は「 二重床 」下からスラブ上の空間と「 二重天井 」とその上のスラブ下の空間まで間仕切り壁が伸びて設置されていないという事なので,部屋同士の音が伝わり易くなります。

特に深夜や早朝,マンション周辺が静かな時間帯に浴室やトイレの使用音や,上階住戸からの排水が流れる竪排水管内の流水音が洋室( 寝室 )ではよく聞える事が有ります。それに依って熟睡できない事が多々生じてきます。

マンションのクレームで一番多いのは「 音の問題 」と私は常に申し上げています。

私のマンションチェックリストの中に『 住戸内の「 間仕切り壁 」はスラブ上から上階のスラブ下まで設置されているか? 』という項目が有ります。この項目は重要で点数が大きいですので,購入可或いは不可にかなり影響が出てきます。

通常,このチェックは販売事務所に置いてある「 設計図書一式 」の中の「 意匠図 」を見なければ判りません。「 意匠図 」の「 特記仕様書 」か「 住戸内仕上げ表 」の備考欄を参照致しますと判ります。

今回見ました新規分譲マンションの「 メインパンフレット 」にわざわざこの様な『 この物件は住戸の「 二重床 」「 二重天井 」の工事を先に行って,その後住戸内の「 間仕切り壁 」の工事を致しております。その様にすれば将来,間取りの変更等の時に「 間仕切り壁 」の位置移動がやり易くなります。』という記述が「 挿絵 」付きで載っているのにはびっくり致しました。

私の推測ですが,住戸内の内装工事に於いて「 二重床 」「 二重天井 」の工事を先に行い,その後住戸内の「 間仕切り壁 」の工事をすれば,「 間仕切り壁 」をスラブ上から上階のスラブ下まで設置するよりはるかに面積は狭くなり工事費は安くなります。

更に工事期間も短縮できます。ゼネコンにとってはおおいにメリットが有りますが,購入者( 入居者 )にとってはほとんどメリットは無いと思います。

更に『 将来,間取りの変更等の時に「 間仕切り壁 」の位置変更がやり易くなります。』と付け加えて正当化していたのには「 唖然 」と致しました。

「 唖然 」とした理由は,「 間仕切り壁 」には必ずと言っていいほど,電気関係の「 コンセント 」や「 スイッチ 」等が設置されていますので,容易に「 間仕切り壁 」の位置変更は出来ないと思います。

また, 「 二重床 」の上に設置された「 間仕切り壁 」を移動致しますとその部分のフローリング等の床仕上げ材の貼替えが生じます。「 二重天井 」も同様に「 間仕切り壁 」を
移動致しますと,先程の電気関係等の配線の穴を塞ぎ,仕上げ材の貼替えが必要になります。

新たに移設した「 間仕切り壁 」の位置に「 二重床 」「 二重天井 」に補強材を設置する工事も必要となってきます。

マンションの住戸内装工事では「 間仕切り壁 」をスラブ上から上階のスラブ下まで先行して設置し,その後「 二重床 」「 二重天井 」の工事を行った「 仕様 」でも「 間仕切り壁 」の位置変更工事の難易度や工事費はたいして変らないと思います。

「 間仕切り壁 」の位置変更工事は5年か10年に1回行なうかどうかですが,音の問題は毎日の事ですから遮音性が高い方が私は良いと思います。

これから新規分譲マンションを購入予定されている方は「 間仕切り壁 」の「 仕様 」を販売員に尋ね,判断し購入される事をお奨め致します。

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