最高裁の判決に関して…。

もう御存知の方もいらっしゃると思いますが,12月18日付朝日新聞39面に「完成直前マンション-新宿区の建築確認-最高裁取り消し」の記事が載っておりました。

その内容の概略を下記に記しますのでお読み下さい。

『東京都新宿区が特例として建築を許可した建設中のマンションをめぐり,周辺住民が「敷地への進入路が狭すぎる」として建築確認の取り消しなどを求めた訴訟の上告審判決が17日あった。最高裁第一小法廷(宮川光治裁判長)は「災害や火災が起きた場合の安全性が十分でない」として建築確認を取り消した二審・東京高裁判決を維持し,同区の上告を棄却。建築確認の取り消しが確定した。 マンションの建築確認が裁判で取り消されるのは異例。建物は既にほぼ完成しているが,違法状態となり,仕上げの工事もできなくなった。

問題となったのは,高さ約10メートルの3階建てマンション。敷地の周りはがけ状で,長さ約34メートル,最小幅約4メートルの進入路だけで外の道路に通じている。
延べ床面積は約2800平方メートル。都条例に従えば災害時の避難のため幅8メートルの通路がなければ,建築確認の前提となる安全認定を出すことができないが,区は建物の規模や耐火性を考慮し「安全性に支障はない」と判断して2004年12月に特例として安全認定し,06年7月には建築確認が出された。

本来は今年4月に完成予定だったが,東京高裁が1月の判決で「区の安全認定に合理的根拠はなく,建築確認も違法」と指摘したため,工事がストップしていた。住戸は約30戸あるが,訴訟になったので,マンション業者は販売していないという。マンション業者側は「新宿区が安全認定を出したことを信頼して土地を取得し,開発を進めてきたため,非常に困惑している。区に対して損害賠償請求することも視野に,対応を検討したい」と話している。取り壊すことが決まった場合でも、費用負担などが問題となる。』(アサヒ・コムより抜粋)

この記事を読みまして建築家(建築設計者)の私がまず感じました事は,役所への事前ヒアリングを行なっても無駄だな…と思いました。

このデベロッパーは土地を購入する前に事前に新宿区に安全認定を提出,取得した後に土地を取得したそうなので,役所のお墨付きを貰えば通常は安心できます。

処がこの様な判決が出ますと,今後我々建築設計者は何を拠り所に設計を進めて良いか疑問になりました。

建築基準法や東京都の建築安全条例を読みますと,各条文の後に「但し書き条項」が有り
「但し○○が認めた場合はこの限りではない。」と書いてある事が多々見受けられます。

私も10数年前に斜面地に建てる,マンションの設計でこの「但し書き条項」を適用してもらった事がありますので,今回の判決にはびっくり致しました。

我々,設計者にしてみれば設計依頼者であるマンションデべロッパーに有利になる様にと配慮し,変形土地や斜面地等でのマンションの設計時には確認申請提出前に事前に役所ヒアリングを行ない,設計を進めていました。今回の判決に依って役所事前ヒアリングは必要無くなりました。

しかし,建築基準法は解釈に依っては如何様にでも解釈できる所が多々見受けられます。これらも確認申請を審査する各地方自治体や委任を受けた民間の審査機関に依って解釈が異なるのです。

例えば,外廊下側のマンション住戸玄関脇に設けた「ポーチ」の面積を容積算入するかしないかです。各地方自治体や確認審査機関では未だに「マチマチ」です。

我国は「立法」「行政」「司法」と三権分立が明確に分かれておりますので,「司法」である最高裁でこの様な判決が出ますと,設計者は自衛しなければなりません。今後は,役所に「但し書き条項」適用をお願いせずに,全く法文通りに設計する事です。更に法文の解釈を常に厳しい方で設計しなければばらないと痛感致しました。

「行政」側も自衛し,なるべく「但し書き条項」を少なくするしかないと感じました。

尚,全文を読まれたい方は下記のURLからお読み下さい。
http://www.asahi.com/national/update/1217/TKY200912170383.html

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