「ガラスの有る木製扉」の注意点

今回は主にリビング・ダイニング(LD)の出入り口に設置されている「ガラスの有る木製扉」についてのお話を致します。

「ガラスの有る木製扉」はマンションに依ってはLDの出入口だけに設置されているものではありません。

洋室の狭い子供部屋になりそうな部屋の出入口にも「ガラスの有る木製扉」を採用している物件があります。

その他にも,便所の扉にも「ガラスの有る木製扉」を採用しているマンションもあります。

この場合は便所出入口の扉のかなり上部に約10センチ角のガラスを入れて,便所内の照明が点灯しているかが確認できる様にした親切な扉です。廊下を歩いていて便所扉のガラスを見て照明が点灯しているのに,レバーハンドル上部の使用中の表示が「白」であれば,照明の消し忘れが分り,電気の無駄を解消できるのです。

先程お話致しました様に,マンションの住戸内で「ガラスの有る木製扉」を採用している所はほとんどがLDの出入口扉です。

マンション設計者にとっては,この場所の扉のデザインはとても楽しく腕の見せ所なのです。

大きなガラスを強調した扉や,小さいガラスを4~8箇所位,配列配置した扉等が有ります。

さて,ここで注意して戴きたいのが「ガラスの有る木製扉」のガラスが割れたりした時にガラスの交換が可能かどうかです。

以前に「内覧会同行」チェックで見ました,あるマンション住戸のLD出入口扉のガラス交換が不可能だったのでその詳細を御説明致します。

その扉の幅は80センチで,嵌め込んで有るガラスの幅は7センチ位,長さは扉の上端から下端まで有り「スリット状」になっていました。ガラスの位置は扉のレバーハンドル側の端部から約30センチ位の所でした。

そして,その扉へのガラスの留め方は扉のガラスが入る両脇の扉木口に溝を彫って差し込み,上下端に「U字型」の厚さ2ミリ程度のステンレス金物を設置して固定しておりました。尚且つ,そのステンレス金物はガラス両脇の扉の上下端(木口)にビス留めし連結していたのです。ですから,その「ガラスの有る木製扉」の強度自体には問題は有りませんでした。

しかし,この「ガラスの有る木製扉」のガラスが割れた時のガラス交換はどの様に行なうのかが,疑問になったので,付添いのゼネコンの方に質問致しました。

ゼネコンの方の回答は「ガラスだけ入れ替える事ができませんので扉全体を交換する事になります。」でした。即座に私はこの「ガラスの有る木製扉」の交換費用は幾ら位かかりますか?…と聞きました。「扉費用と工賃で約10万円強です。但し入居後10数年経つと,この扉の表面に貼ってある木目・色のオレフィン紙(合成樹脂を主原料として火災時の発煙量を少なくし,塩化水素等の有毒ガスが発生しない紙)が有るかが疑問です。その時は扉の表面の木目や色が他の部屋の扉と異なってきます。」とさらっと悪びれずに答えてきました。

私はその回答を聞いて唖然と致しました。そしてゼネコンの方に「ガラスの有る木製扉」のガラスは通常「押縁」(おしぶち-建具等でガラスを扉に固定する為に取り付ける細長い材料)で固定して,ガラスが割れたら「押縁」を外して新しいガラスを入れて,また「押縁」で固定するのではないのですか?ガラス交換だけでしたら10万円もかかりませんね。1~2万円程度で済みますね…と申し上げました。

この様に最近のマンション設計者はデザインにはこだわりますが将来のメンテナンスに関しては結構無頓着な方が居るなと感じました。

マンションのモデルルームを見た時に「ガラスの有る木製扉」が有りましたら,ガラス交換はどの様に行なうのかを販売者に質問して自己防衛しませんと,将来ガラスが割れた時に「高いツケ」がきますので御用心下さい。

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