「差圧式給気口」の必要性と設置位置

最近の新規分譲マンションのモデルルームを見ますと「差圧式給気口」設置の物件が増えてきました。とても良い風潮です。

さて「差圧式給気口」って何…と思っていらっしゃる方に「差圧式給気口」の御説明を致します。

「差圧式給気口」とは住戸の主にリビング・ダイニング(LD)の外壁側に設置され,住戸内の気圧が屋外の気圧より低くなった時に中のバタフライ(蝶の羽)状の蓋が開き内径15センチのパイプで外気を給気するものです。

「差圧式給気口」は住戸内と屋外の気圧が同じであれば,先程のバタフライ状の蓋は閉まっていて外気の給気は致しません。

ここで「差圧式給気口」なる物が登場した経緯をお話致しましょう。

平成15年6月の建築基準法改正により,マンションの住戸内の空気全てを2時間に1回新鮮な空気と入れ替える能力を持った「24時間強制機械換気システム」設置が義務付けられました。

この「24時間強制機械換気システム」は各居室(LD,洋室や和室)の外壁側に直径10センチの「給気口」を設置し,そこから新鮮な空気を取り入れ,汚い空気は部屋の出入口扉の下の隙間を通って洗面室又は浴室の天井上の「排気する機械」とダクトでつながった「吸気口」から吸い込み屋外に排出されるシステムです。基本的には24時間ずっと運転しておかなければなりません。

各居室の外壁面に設置された直径10センチの「給気口」は手動で開閉可能になっていますが,本来は常時開にしておかなければなりません。

常時この「給気口」を開けていますと,冬や夏に外部の冷気や熱気が室内に入ってきますので室内が寒かったり,暑かったりいたしますので「給気口」を閉じてしまう方が多いのです。

この「給気口」を閉じてしまいますと「24時間強制機械換気システム」の排気機能が住戸内の汚い空気を少しずつ排出致しますので,住戸内の気圧が低くなります。

住戸内,全ての「給気口」を閉めてしまいますと住戸内の気圧がかなり低下して,玄関扉を開ける時には強い力が必要になり,小さな子供の力では開けられない事もあります。

住戸内の気圧がかなり低下いたしますと「差圧式給気口」内のバタフライ状の蓋が若干開き給気して住戸内部と外部の気圧を調整致します。

特に台所で調理中にレンジフードを回しますと沢山の空気を排出致しますので住戸内の気圧がものすごく低くなり「差圧式給気口」の蓋は全開して給気致します。

換気とは排気だけでは成り立ちません。外気の給気が有ってこそ換気機能が働くのです。

ですので,これからのマンションは自動的に開く「差圧式給気口」設置は必要だと思います。

この「差圧式給気口」は更にロック機能が付いていましてロックしますと「台風」等の強風では内部の蓋が開かない様になっていますが,一時的に使う機能で常時はロック機能を解除しておかないと,差圧を感知しても蓋が開かずに給気致しません。

さて本題の「差圧式給気口」の位置が問題です。レンジフードを回すと大量の外気が室内(LD等)に入ってきまして冬に暖房していましても寒いのです。人体に外部の空気が直接当たらない位置が理想ですがほとんどの物件では床上1m~1.5m位の位置に設置してあります。

先日見ました「三菱地所」のマンションではLDのバルコニー側の大きな「掃出し窓」上の大梁のほぼ中央の高さに設置されていました。ここに設置する事は入居者への配慮が行き届いている設計なのです。「差圧式給気口」から入る外気は直接人体に当たりませんし,目線より上なので鬱陶しさが軽減されて空間が綺麗に見えます。

尚カーテンボックスは大梁下に設置してありましたので,カーテンで「差圧式給気口」を塞ぐ心配も有りません。

建築の「構造規準」ではコンクリート壁や梁に開ける穴が直径10センチ以内ですと原則的に鉄筋での開口補強は必要無いのですが,直径15センチの穴を開けますと鉄筋や鉄板の開口補強が必要なのです。

コンクリート壁の開口補強は鉄筋のみで,たいして費用がかかりませんが,コンクリートの大梁の開口補強は鉄板で行なうか,鉄筋をかなり多く使用して結構費用がかかります。

こういう,入居者が気付かない所を配慮してお金を使っている売主は信頼できます。
「差圧式給気口」をLDの外壁側に高さ1m~1.5mに設置している売主とは「一味」違います。

尚、念の為に申し上げておおきますが,今回のコラムで「売主」の名前を実名で書きましたが,私は「三菱地所」とは全く利害関係は有りません。
このコラムで「売主」の実名を出すと私にお金が入っている等の質問が有りましたのであえて申し上げます。

今後は良いマンションを見ました時にはこのコラムで「売主」の実名を出す事に致しました。

その様にする事でマンション業界の質が少しでも良くなる事を願って止みません。

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