完成在庫住戸の減少は本当ではなさそうである

先日,この「住いサーフィン」サイトの運営会社アトラクターズ・ラボの沖社長のコラム216号(9月28日付)に「在庫減少は本当か」という文章が掲載されていましたので,私の経験や情報を交えて検証してみました。

いつも,私は毎日の新聞の折込広告(チラシ)のマンションのものはすべてを見ています。ほとんどのマンションの折込チラシは裏面の下の所に虫眼鏡で見なければ判読できない小さな字で書いてある「物件概要」があり,そこにまず目をとおします。

この「物件概要」の「完成日」で多いのが平成20年2月か3月なのです。もう1年半以上前に完成している物件なのです。入居日は当然「即入居可」になっています。

この様な物件の折込チラシが毎週木曜日か金曜日には沢山新聞に挟んであります。
これらの物件の売主は大手デベで未だに広告宣伝費があります。そして,ほとんどが大型物件(500戸以上)です。

新聞折込チラシを見た後に掲載の物件の売主のHPを開いてみますと,かなりの数の物件が完成写真付きで載っています。それぞれの物件の「物件概要」の中の「完成日」は新規物件以外はほとんど半年から1年以上前になっています。

ついでに中堅デベロッパーのHPを開いてみますと,更に「完成在庫」物件が多いのです。

これだけ見ましても,到底「完成在庫」住戸は減少しているとは思えません。

ちなみに,大手や中堅デベの「完成在庫」物件の「物件概要」に「販売住戸6戸」と書いて有りますが,不動産調査会社の方に聞きますとほとんどが真実で無く3倍読みが本当だそうです。すなわち「完成在庫」物件で「販売住戸6戸」と書いてありますと18戸~20戸は売れ残っているそうです。

さて,これを裏付けるかの様に「内覧会同行」を行いますと,依頼者の物件が「完売」しているかが良く分ります。

私の経験上の勘ですが「完成在庫」住戸が多い物件は「内覧会同行」で依頼者が受付している時に周りを見渡すと,活気がないのです。そして「内覧会」チェックが終わってから打ち合わせルームで売主やゼネコンと「是正指摘事項」の打ち合わせを行うのですが,打ち合わせルームにはほとんど購入者が居ない状況で関係者だけが暇そうに立っているのです。

たまに,顔見知りの販売会社の方に「ここだけの話し,このマンションどの位売れ残っているの?」って聞きますと「碓井さん,絶対に言わないで下さいよ。総戸数の約20%以上は売れ残っていますよ。立地が最寄駅より遠くて,当初の値付けが高かったのが敗因ですよ。」
と答えてくれます。更に販売会社の担当者は売主よりリスクが少ないので「この物件の担当を続けても進展無さそうだから,早く他の新規物件の販売担当に移りたいですよ。」と私にボヤいていた事もありました。

私が実感して「完成在庫」住戸が減少しない理由は「現地同行」チェックで顕著にわかりました。理由は現在売り出している「新規分譲マンション」の方が立地も良く,物件自体の内容も良く,価格も妥当だという事です。

先日「新規分譲マンション」の「現地同行」チェック依頼が有り,チェックリストの結果が良く,購入契約された方がいます。その依頼者は今年(平成21年)3月に完成した物件が10%強値引きしてくれると言われて迷っていました。そして私に「現地同行」依頼の前にどちらが「現地同行」チェックに向くかを相談してきました。私は早速10%値引き物件のHPを開け「物件概要」の「交通」欄を見ましたら「○○駅よりバスで…」と書いてありましたので,依頼者に値引きは期待できないが「新規物件」の方をチェック致しましょうと回答致しました。

私の分析では「完成在庫」物件が減少しないまず大きな理由は「交通利便性」が悪い事です。ほとんどの「完成在庫」物件が最寄駅から徒歩15分以上の物件で,克つ物件自体が良くなくて更に価格がリーズナブルでないのです。

各デベのHPを見ますと,最寄駅よりバス利用物件はほとんどが「完成在庫」物件になっています。

「新規分譲マンション」の方が,内容の良い物件が多く,売れ行きは順調な様です。

立地,内容,価格があまり良くないので顧客に見放された「完成在庫」物件になったマンションを多少値引きした処で売れるとは思えません。まして人が住んでいない住戸は傷みが早いのです。

以上の理由で私も「完成在庫住戸の減少は本当ではなさそうである。」と思います。

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