「ソフトクロージング」の収納扉

今回は,先日行なった「内覧会」同行チェック物件がとても良かったので,良い所を具体的に皆様に御説明させていただきます。

その物件の立地は東京の城北部で売主は超一流のデベで,設計・施工も一流の大手ゼネコンでした。

この大手ゼネコンは土木系の工事が主で建築系の工事は従な会社であり,あまりマンションの設計・施工は行なっていないので「内覧会」に行くまでは心配でした。

まず手荷物を置きに依頼者の購入住戸に入って見回してみましたら,直ぐにその危惧はすっ飛びました。

まず壁や天井のビニールクロスの貼り具合がとても良く,真っ白であるのにジョイント(継ぎ目)部分が全くわかりませんでした。

通常,ビニールクロスの幅は90センチで壁の仕上げの場合は上から下に貼り,そしてその横にまた90センチ幅のビニールクロスを貼っていくのです。この90センチ幅のビニールクロスがお互いに接する所をジョイント部分と呼んでいます。

このジョイント部分のビニールクロスの貼り方が下手ですと,隙間が開き細くて黒い線が見えてしまいます。

さて,今回の本題の「ソフトクロージング」について御説明いたします。

具体的にお話致しますと,収納扉に設置されている家具用ヒンジ(丁番)に「ソフトクロージング」タイプのヒンジを採用していた事です。収納扉の一番上のヒンジに「ソフトクロージング」タイプを採用していました。この「ソフトクロージング」タイプのヒンジを収納扉一番上に設置しますと思いっきり強く閉めても「パン」という大きな響く音が出ないのです。

数年前からこの「ソフトクロージング」タイプのヒンジが欧州より輸入されたと記憶していますが当時はかなり高価で通常の国産家具用ヒンジの倍以上の価格でした。よほど高額な「億ション」でしか採用されていませんでした。

ですので,私の「内覧会」同行チェックで収納扉を閉めた時に「パン」と大きな響く音が出ますと,収納扉に設置してあります3から4箇所あるヒンジの一番上のヒンジのみスプリングを取り払う様に修正工事を御願いし,「ソフトクロージング」タイプのヒンジへの交換までは御願いできなかったのです。そしてその様に致しますと収納扉を閉めた時の「パン」という音が若干小さくなりました。

この「ソフトクロージング」タイプのヒンジを収納扉の一番上に設置致しますと勢い良く閉めても「パン」という音が出ませんし,また弱い力で扉を閉めてもきっちりと閉まるところがこの欧州のメーカーの優れているところなのです。

現在はだいぶ価格が下がったそうで,通常の国産の家具用ヒンジとの価格差は1個当たり400円強程度高価だそうです。1住戸の収納扉枚数はクロゼット,流し台,吊り戸棚,洗面化粧台や便所収納等を計算致しますと約20数枚程度です。

この20数枚の収納扉の一番上のヒンジのみを「ソフトクロージング」タイプのヒンジにしたところで1住戸の工事費の差額は僅か10,000円程度の上昇です。例え100戸のマンションでも総工事費は大雑把に約15億円ですので100万円程度上昇しても上昇率は,ほんの約0.06%(6/10,000)です。

このマンションの設計者は至るところに細かい配慮が見られ感心致しました。また通常ゼネコンの設計・施工の場合は利益最優先で現場所長が設計部の書いた仕様より安いものに変えてしまうケースが多いのです。処が,ここの所長さんは太っ腹で入居者への配慮としてこの「ソフトクロージング」タイプのヒンジの採用を容認したと推測いたします。

良い所長には良い下請け工事業者が付いていますので,壁紙を貼った経師屋(きょうじや)さんも腕の良い職人さんを抱えた業者だったのだと思います。

こういう所は他社のデベやゼネコンも見習って欲しいものです。

私事ですが,この欧州のメーカーの家具用ヒンジは設置後に調整がし易く頑丈なので170度開きタイプのヒンジを私は20年位前から採用していました。当時,このメーカーは「ソフトクロージング」タイプのヒンジは作っていませんでした。質実剛健な家具用金物(ヒンジや引き出しレール)メーカーです。

このメーカーの製品を1度採用致しましたらクレームが出ず,感触もいいので多少高価でも他のメーカーの家具金物を採用する気にはならなくなります。ですので未だこのメーカーの家具金物を採用し続けています。

私の「内覧会」同行の依頼者の方に「本当に良い物件を購入されましたね。」と言いましたらとても喜ばれていました。                   
尚,上記「ソフトクロージング」タイプのヒンジは下記URLより御覧下さい。

http://www.blum.com/jp/ja/01/20/30/index.php

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