「専門工」は必要ない…?

先日ある大手ゼネコンA社より新工法のレポートが送られてきました。

内容は今後A社設計・施工のマンションのバルコニーと外廊下側の外壁を「鉄筋コンクリート造非耐力壁」から「ALC版」に変更する事と,サッシュや玄関扉もシステム化(特許取得)された金物で取り付け『「専門工」は必要ない』と謳っていました。

私はそれを見ましてA社は「施工の質よりコスト」重視の方向に向っている様に感じられました。

マンションの外壁に「ALC版」を採用する事についてはこのコラムの13号「マンションの外壁はダブル(複列)配筋のコンクリート壁が良い。」で詳しく書きましたのでそちらをまず御覧下さい。

https://s.sumai-surfin.com/columns/category/50/13

先程のレポートに書いてありました『「専門工」は必要ない』との記述には正直,私は驚愕致しました。

『「専門工」は必要ない』という事は素人に近い職人さんに工事を施工させるという事です。
はっきり言いますと今後,A社施工のマンションには「施工精度」の良さは期待できないと思われます。

この新工法は施工者の一方的な論理であり,その工法で施工されたマンションの入居者(購入者)への配慮は全く感じられませんでした。

以前よりこのA社の方針は「誰でも施工できるマンション工事」を目標にしていると聞いていましたが,ここまで「やるか」とレポートを良く読んで唖然と致しました。

建築工事は各々の工事をスキル(技量。経験や訓練によって得られる,特殊な技能や技術。)を持った「専門工」を抱えている専門業者(下請け)に依頼して完成させるものです。

処が,A社は「専門工」に外壁の施工やサッシュ・玄関扉の取り付けを任せて施工させないで,素人に近いスキルの無い職人さんにそれらの工事を施工させるのです。

私の経験では,その方が工事費はかなり割安になると想像致します。
しかし,施工精度はかなり落ちると予想されます。

いままでもA社のマンションの内覧会同行チェックを致しますと,いたるところで施工誤差が大きく「是正修正事項」が多くとても時間がかかっていました。

このA社施工のマンション,住戸間の戸境壁(鉄筋コンクリート造)の仕上げが未だにビニールクロス直貼りが出来ないのもうなずけます。この事の大切さも以前このコラム14号「マンションの隣戸間の戸境壁の仕上げについて。-1」で詳しく書きましたのでそちらを御覧下さい。

https://s.sumai-surfin.com/columns/category/50/14

こうした専門的な施工水準に対する判断は専門家のセカンドオピニオンを取る事で課題解決することができるものです。

PS:
アンビシャスの安川専務取締役(元千葉黎明高等学校校長)が「元校長のブログ」で「マンション業界のご意見番」と私の事を2回に亘って書いていらっしゃいますので御時間が有りましたら御覧下さい。
http://www.ambitious-am.co.jp/blog/2009/07/post-000040.html
http://www.ambitious-am.co.jp/blog/2009/08/post-000043.html

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