「蓋付きゴミ箱」が洗面化粧台の中に…。

久々に「蓋付きゴミ箱」が洗面化粧台の中に設置されているマンションを見ましたのでそのお話を致しましょう。

この「蓋付きゴミ箱」とはどの様な物かを御存知無い方に御説明致します。

簡単に御説明致しますと,洗面化粧台カウンター下のBOXの扉の内側に取り付けてあり,扉を開けると「蓋付きゴミ箱」が出てきまして,扉の開閉と連動して「ゴミ箱」の「蓋」も開閉する様になっているものです。

20年程前の「バブル期」の高額マンションや高級マンションの洗面化粧台の中に「蓋付きゴミ箱」が設置してあるケースがかなり見受けられました。

私も昭和60年頃に設計したマンションで1回だけ採用した事が有りますが,当時の「蓋付きゴミ箱」は製品精度が悪く,入居者からクレームの嵐でその後の採用は見送りました。

当時の「蓋付きゴミ箱」の「蓋」の開閉は紐状のものを蓋とBOXの側面の板に固定し,扉を開きますと,BOX側面の板に固定された紐に引っ張られて「蓋付きゴミ箱」の「蓋」が開くというものでした。

先日見ました「蓋付きゴミ箱」は「ゴミ箱」と「蓋」を一体化せずに「蓋」をBOX側面の板に設置し,扉を開けると「カム」(運動の方向をかえる機械)状の装置で「蓋」が上に上がり,扉に設置してある「ゴミ箱」が出てきまして,上には「蓋」が無くゴミが入れ易くなっていました。扉を閉めますと「ゴミ箱」がBOX側面板に設置してあります「蓋」の位置にきて「蓋」がおりてきて「ゴミ箱」の上面を塞ぐ様になっている優れものでした。

私が扉を開け「ゴミ箱」を外して「ゴミ箱」の中の「ゴミ」を捨てる動作をした後,再び「ゴミ箱」を扉の所に設置しようとしました。処が中々うまく納まらずに同行して戴いたゼネコンの方にお願いして設置してもらいました。その方も設置に苦労して苦笑いをしていました。

今回見ました「蓋付きゴミ箱」は以前のものより少し進歩していましたが,私の予想では入居者から将来クレームが出そうな感じが致しました。

我々,設計者はマンション設計をする場合「親切が仇(あだ)となる」場合がよく有ります。一見便利そうな製品でもカタログだけ見ての採用は致しません。メーカーに現物を見本品として持ってきて貰い説明を受けます。そこで長年の勘で何となく壊れやすそうだったり,実際使用すると使い辛かったりしそうな製品は採用を控えます。後で必ず入居者よりクレームが出てディベロッパーから注意を受けるからです。

このマンションの設計者は入居者に配慮したつもりが,後々クレームの洗礼を受ける可能性が大きいのではないかと心配です。

マンション設計は何度も言いますが「経験工学」の範疇が大なのです。

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