日本の超高層マンションは外壁からの漏水や遮音性能の低さが問題。-1

日本では地盤面からの高さが60メートル以上の建物を超高層建築物と規定して,構造基準や防災基準等が厳しく法制化されています。

超高層建築物の骨組みは現行の構造基準ではほとんどが純鉄骨造(S造)になります。我国,日本は地震が多いので諸外国と異なり超高層建築物の構造基準は厳しいのです。

簡単に説明致しますと,純鉄骨造にしますと地震が起きても柳の如くしなやかに揺れて,地震のエネルギーを吸収致します。俗に柔構造(じゅうこうぞう-柔らかい構造)と言われています。それで倒壊を防いでいるのです。

純鉄骨造で柔らかく作ると言う事は建物全体を軽くする必要があります。建物を軽く作るには外壁は軽量気泡コンクリート版(ALC版)を用い,住戸間の間仕切り壁等にはコンクリート壁は重いので使用できず,軽い乾式工法と言う石綿又は石膏押し出し版を下地の柱・壁にした物を設置しています。

超高層建物の外壁にALC版を採用いたしますとどの様な問題が起こりか説明致します。

ALC版は工場生産品ですので幅は約1メートルです。これを並べて「つなぎ目」をコーキングし,外部からの漏水を防いでいるのです。処が,超高層建築物の構造は純鉄骨造ですので地震時や強風時には柳の如くしなやかにたびたび揺れます。揺れると言う事は外壁のALC版も動いて,つぎ目のコーキングが疲弊していきます。最悪の状態になりますとこのコーキングが切れてしまい雨水がしみ込んで住戸内に浸入してきます。

1年強前に超高層マンションに入居された方から,もう既に私の処に外壁からの漏水の相談が沢山きている事が証明しています。

オフィスビルやホテル等は家主が毎年メンテナンス費用を予算に計上して家賃を設定し定期点検していますので,入居者の負担は軽いですが,分譲マンションですと修繕積立金で補修をしなければなりません。予想外に修繕積立金が減ってしまい,購入者の負担が増加致します。

また外壁からの雨水の漏水で住戸内のビニールクロスの貼替え費用等はその住戸の購入者の負担です。更に下階住戸へも漏水した水が落ちる場合がありますので,マンション内での人間関係も悪くなりがちです。

大手一流不動産会社は最近,超高層マンションも構造を純鉄骨造から鉄筋コンクリート造にして外壁も鉄筋コンクリート壁にし,外壁からの漏水を防いでいる物件にしています。

超高層建物でこの構造計画は時間と費用がかかり大変な作業です。(社)日本建築センターに構造評定を申請して許可を取り付けなければなりません。

しかし,購入者への配慮を考慮致しますと当然そうすべきだと思います。

また,ある一流中堅不動産会社の社長は未だに日本での超高層マンションは購入者不在型マンションだという事で供給しない姿勢をとり続けている立派な方もいられます。

次回は「その2」として超高層マンションの遮音性能についてお話いたします。

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