「最上階住戸」の「盲点」

「購入相談」で「最上階住戸」を望む方がよくいらしゃいますが,私はお奨め致しません。

「最上階住戸」のメリットは上に住戸が無いから上階住戸の音が聞えてこないという事,そのマンションの一番上に居住する満足感と眺望の良さだけです。

「最上階住戸」のディメリットは何点か有り,一番大きなディメリットは「夏はとても暑い」という事です。次に下階住戸より価格がかなり割高である事や泥棒が入り易いという事等です。

この,「夏はとても暑い」という事は今後の地球の温暖化にも比例していきます。

何故,「最上階住戸」は夏とても暑いかの理由を申し上げます。

通常,「最上階住戸」の天井の上のコンクリートスラブの上には断熱材(厚さ約5センチ)を貼り外断熱し,その上にアスファルト防水を施工しているのです。

問題は真夏の日中,太陽が「ガンガン」と照りつけますが,わずか5センチ厚の断熱材では断熱効果が低く,照り付けられた太陽の熱をコンクリートスラブに蓄熱致します。

昼間は僅かの厚さの断熱材とコンクリートスラブで多少は断熱致しますが,夕方から夜にかけて建物周辺の外部温度が下がってきますと,コンクリートスラブ(最上部の)に蓄えられた熱が放出されるのです。蓄熱された熱の放出先は住戸の室内になってしまうのです。何故かと申しますとコンクリートスラブに蓄熱された熱は上部(外部)には断熱材が有るので放熱できず,蓄えられたほとんどの熱が下部の室内に放出されるのです。

ですので「最上階住戸」は夏,一晩中冷房していないと暑くて寝ていられません。夜中ずっと冷房している事は身体にも良く有りませんので「最上階住戸」はお奨め致しません。

また「最上階住戸」をお奨めしない理由は先程のディメリットのもうひとつの件です。
警察の統計ではマンションの場合, 泥棒が入りやすいのは1階住戸で次は「最上階住戸」という事です。

マンションにお住いの方はちょっとした買い物の場合,リビング・ダイニング側のバルコニーへの掃出し窓を開け放しで外出される方が多いそうです。

それ自体は住戸内の換気を良くし,湿気を排出する効果が有って良いのですが「最上階住戸」でそれを致しますと泥棒は屋上から簡単にLD側のバルコニーに降りてきて住戸内に入り,金品を盗って住戸玄関の鍵を内側から開けて堂々と出て行くのです。

特にマンションの「最上階住戸」は広いので価格が高く「金持ち」が住んでいるという事を泥棒はよく知っています。

私は「購入相談」で,これらのディメリットをお話して中間階の住戸を奨めます。

高い階の住戸が好きな方には最上階の直下階の住戸を奨めていますが,最近は「最上階住戸」のプランとその直下階の住戸プランが異なる事が多く,上階住戸の水周りが下階住戸の主寝室の上なんて事も有ります。その様な場合は最上階より2階下の住戸をお奨めしております。

最上階の直下階住戸プランからその下は縦列に同じ住戸プランを配置しているマンションがほとんどですから大丈夫です。但しタワーマンション(超高層マンション)では,そうでない場合が多いので要注意です。

この様に「 夏暑く」「泥棒が入り易く」「販売価格が割高」等の理由で私は「最上階住戸」をお奨めしないのです。

私も設計者の端くれですので,上記の2件のディメリットの解決法を何度か色々検討致しましたが上手くいきませんでした。

結論は解決の為の工事費がかかり過ぎ,コストパフォーマンスに全く見合わないので,売主から却下されてしまいました。

ちなみに,「最上階住戸」でなくても住戸の上がルーフバルコニーになっている住戸も「夏はとても暑い」のですので要注意してください。

さて,ここで皆様に御知らせしたい事がございます。

昨年末「角川書店」より依頼が有り,現在私が「リキ」を入れて執筆しております[マンションに関する本]の出版が4月10日に決定いたしました。

本の題名は未だ決定しておりませんが,題名が決まり次第このコラムで御知らせ致します。
「文庫本(新書)」ですので予定価格は1冊約700円位です。出版されましたら御購入頂ければ幸いです。期待してお待ち下さい。  

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