「物干金物」と手摺の衝突

最近多いのが「総合設計制度」を適用し,計画したマンションです。

「総合設計制度」とは500m2以上の敷地で建築の計画を総合的に判断し,敷地内に歩行者が日常自由に通行又は利用できる一定割合以上の空地(公開空地)を設ける事などにより,市街地の環境の整備改善に資すると認められる場合,特定行政庁の許可により,容積率制限や斜線制限,絶対高さ制限を緩和する事です。(建築基準法第59条の2)

簡略に申し上げますと,この「総合設計制度」を適用致しますと容積率の制限が例えば300%(敷地面積の3倍以内の面積の建物が建設可能)の敷地に上記の条件を満たせば300%以上の面積の建物が建設可能という事です。

事業主にとっては「総合設計制度」を適用して分譲マンションを建てれば,専有面積(売り面積)が増えるので利益が増えます。

しかしこの「総合設計制度」を適用致しますと,まずマンションの敷地内に近隣の人が自由に通行をしたり憩える公開空地を設ける事が義務付けされて,敷地外周の大部分に防犯用のフェンスが設置できないのです。たまに「ホームレス」の人が公開空地のベンチに横たわっているケースが見受けられます。ですので「総合設計制度」を適用のマンションではセキュリティーは建物の出入口の所で万全にしておかなければなりません。

「総合設計制度」はマンションの住戸にも付加条件が付いてきます。

それが今回のコラムの本題です。

昨年,内覧会同行チェックを行った物件ではほとんどの物件が「総合設計制度」を適用していましたので色々な付加条件を受けていました。

その,付加条件の一例を申し上げますと,住戸のバルコニーの手摺壁の手前に手摺バー(ステンレスパイプ等)を手摺壁の端から端まで水平に設置させられる事です。

内覧会同行チェックで,この手摺壁の手前に設置された手摺バーと「物干金物」がぶつかるケースが多々有りました。その場合私は「物干金物」の改修か交換を修正工事として指摘致しました。

マンションの住戸のバルコニーに設置されている「物干金物」は可動式になっていまして使用する時に,物干竿を受ける腕木状の金物を引き出し,高さや角度を調整するのです。この竿受けの金物を引き出す時に先程の手摺バーに「ガン」と衝突してしまうのです。

洗濯物を干すたびに竿受け金物が手摺バーに当たって「ガン・ガン」と音を発しますのは入居者にとっては嫌なものです。この様な欠陥を私は容認致しません。改修工事を要求致します。

将来,竿受け金物が錆びたり手摺バーが凹んだりする可能性は充分予想できます。

手摺バーはステンレス製ですので錆びませんが,竿受け金物はステンレスでない金属でその表面が塗装仕上げですので手摺バーにぶつかって傷が付き塗装が剥がれ錆びが生じてきます。

この様な欠陥は予め予測できますので入居者への配慮不足です。

「総合設計制度」を適用して建てたマンションの住戸のバルコニーの手摺壁の手前に付いている手摺バーと「物干金物」との衝突は施工者,設計者や事業主3者がそれぞれ事前に行なった竣工検査時に気付いていたはずです。

気付いていたのにもかかわらずに,この様な欠陥を回避する改修工事を行なわずに内覧会を行う事業主,設計者並びに施工者は「確信犯」です。

購入者が一生そのマンションに住み続ける事に配慮すれば内覧会前に事前に改修工事をしていたはずです。マンションの売主は入居者へ配慮ある設計者及び施工者への依頼を御願い致します。

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