購入者へも貸し渋り

今回は建築的なお話ではなく不動産業界の「氷河期」の現況をお話致します。

米国のサブプライムローン問題から始まり追い討ちをかける様にリーマンショックが起こりこの大きな出来事で日本までがどんどん不景気になってきました。

不動産業界も2年前の「ミニバブル」が崩壊して,今や「氷河期」に突入致しました。

私が「現地同行」で新規分譲マンションの販売事務所に行きましても,顧客はほとんど来ず閑散として,販売の方の元気すら感じられません。

現実にマンションが売れていないと実感致しますのは「内覧会」同行チェックの時です。
「内覧会」時点はほぼ竣工・引渡しに近い頃です。処が完成されたマンションに販売用の垂れ幕がかかっている物件や別棟モデルルーム・販売事務所が壊されずに建っている物件が多々存在しているのを見ているからです。

特に別棟モデルルーム・販売事務所が竣工間近でも建っている物件はかなりの数の売れ残り戸数を抱えていると思われます。

先日ある著名な不動産の研究家の方が,マンションがこれほど売れない理由は価格が割高だから及び不景気だからという原因だけではなく,銀行が購入者に対しても貸し渋りをしているからだと言われびっくり致しました。

マンションを購入したくても銀行の住宅ローン審査が通らなければ,キャッシュで購入するしかありません。その様な裕福な方は微々たる数ですし住宅ローン等を必要としない方です。

その不動産研究家の方が言われるには銀行で住宅ローンを組む時の審査基準がとても厳しくなったそうです。

まず,私の様な零細の「自営業者」はダメだそうです。次に「サラリーマン金融」からお金を借りたりした人は銀行の住宅ローン審査はパスしないそうです。「サラリーマン金融」のカードを持っているだけでもダメだそうです。

そして,私が一番びっくり致しましたのは,2~3年前に独立開業した「開業医」は最近,銀行にかなり信用が無いそうです。理由は開業時点で多額の開業資金を銀行から借りており返済がままならない「開業医」が多いからだそうです。それで更にマンションを購入して住宅ローンを組もうとしても銀行の審査が厳しくてなかなか通らないそうです。

開業医といえば以前は金持ちの代表格でしたが今や銀行は住宅ローンの返済に疑問を持っているそうです。「勤務医」の方がすんなり住宅ローンの審査をパスするそうです。

この話を聞きまして私はもう銀行はマンションの事業主であるディベロッパーだけでなく購入者へも貸し渋りをして自己防衛をはかっている事がわかり愕然としました。

これではマンションディベロッパーは銀行からダブルパンチを受けノックアウトされるのを待っている様な状況です。

私の予想した通り,先程の不動産研究家の方は更に「この不況が続けば来年3月末(平成20年度末)には現在約140社あるディベロッパーが100社残れば良い方だ。全ての元凶は銀行の貸し渋りだよ」とも言われていました。

特に投資家向けの分譲マンションを多く供給しているディベロッパーはほとんど全滅になるのではないかとややオーバーに言っていました。

その方の言われるとおり最近分譲マンションを専業としている「中堅ディベロッパー」は銀行から運転資金の貸し渋りを受けかなり「倒産」している様です。

しかし,調べてみますと分譲マンション専業の「中堅ディベロッパー」でも「実需」(じつじゅ-自分が住むための購入)向けのマンションのみを供給している良心的なディベロッパーは結構売れ行きが良く善戦している様です。これが唯一の救いです。

銀行は国からは我々の税金の一部で救済を受け助かった事があるにもかかわらず,その納税者がマンション購入をしようとして住宅ローンを組もうと致しますとローンの審査をかなり厳しくしてなかなか貸してくれないようです。

マンションが売れない要因のひとつは買いたくても銀行の住宅ローン審査が厳しすぎて通らず買えない人が結構いるからなのではないかと思われます。

我家の近くに高級マンションと同様な大手銀行の社宅があります。高給をもらっているにもかかわらず,彼等が安い家賃でかなり良い生活をおくっているのを目の当たりに見ていますと何か矛盾を感じます。

銀行の方々ももう少し住宅ローン審査の厳しさを和らげて,マンションを買いたい人に協力を御願い致したいと思います。

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