「引戸」の納まりは…

今回は「引戸」の納まりについてのお話を致します。

住戸内の「引戸」の「良し悪し」については以前このコラム#38,#39,#40と3回に亘って詳しく述べてありますのでそちらを御覧下さい。

最近,マンションの住戸内には結構「引戸」が多く使われています。

「引戸」のタイプは2種類有ります。「引戸」の両側が壁で壁と壁の中央から扉を出し入れして開け閉めするものと,「引戸」の片側だけが壁で反対側は「引戸」が露出して簡単に扉に付いている「彫込引手」(ほりこみひきて)に手を掛けて開閉できるものです。

最近は,前者のタイプの「引戸」は「スーパー億ション」等で若干採用されていてレアーなので,今回はファミリーマンションでよく採用されている後者のタイプの「引戸」のお話です。

この後者のタイプの片側のみ壁の「引戸」の納まりが設計者に依って2通り有るのです。

第一のケースは「引戸」を全開にした時に「引戸」の木口面と扉枠の内側面が同じ位置にくる納まりです。

第二のケースは「引戸」を全開にした時に「引戸」が扉枠より約7~10センチ程度出っ張って「引き残し」が生じている納まりです。

第一のケースの「引戸」の納まりは廊下から和室に入る「戸襖」(とぶすま)と同じです。
「戸襖」を全開致しますと「戸襖」の木口面が扉枠の内側とゾロ(同一面)になります。
また入口の開口幅も広く,扉枠の内側幅全てが開口部になり開放感が有ります。

では何故「引戸」の納まりで第二のケースが出てきたのでしょう…?

第二のケースは「引戸」を開ける時に「引戸」に設置してある「彫込引手」に手をかけて開けた際に扉枠に手を挟む恐れがあるので「彫込引手」部分を引き残せば手を挟まないから安全という事です。

私は「引戸」を開ける際に全開させるまで「彫込引手」に手を掛けておくケースはかなり少ないと思います。それよりも「引戸」の扉枠の内法幅(うちのりはば)目一杯に開口した方が先程も申し上げた様に「引戸」を全開した時に開放感があり,大きな家具等の出し入れにも便利です。廊下から和室に入る「戸襖」と同じ納まりの方が綺麗ですし,便利です。

最近の木製の「引戸」は昔に比べて軽く作ってありますので,「引戸」を全開にした時に「彫込引手」と扉枠の所で万が一,手を挟んだとしても「怪我」には至らないと思います。ちょっと痛いな程度で済みます。また人間,一度「痛い」経験を致しますと二度目からは注意いたします。ですので開けた時に開口部が広く綺麗な方が私は良いと思います。

但し,サッシュは別です。サッシュはかなり重いので「片引戸」の場合は「引き手」とアルミ製の縦枠の間に手を挟んだら「大怪我」になります。サッシュの場合は縦枠に「手挟み防止装置」を絶対に設置して第二のケースの納まりにすべきです。

私の独断と偏見を押し付ける訳では無いですが,私が「設計監修」したマンションの住戸内の木製の「引戸」の納まりは第一のケースにして,サッシュの「片引戸」の納まりは第二のケースにしています。

モデルルームに行かれた時に木製「引戸」とアルミサッシュを開閉し,納まりを見て第一のケースか,第二のケースかチェックしてみて下さい。

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