物干し金物の選定ミス

今回のお話は前回の#196「住戸床面に外気吸気口が有る不可解な設計」のマンションの続きです。

前回も御説明致しましたが,このマンション東京23区の城北部に立地し,売主,設計・施工が同じ会社で超一流のスーパーゼネコンです。

総戸数250戸弱で販売坪当り単価が220~250万円/坪です。この地域ではかなり高い値付けです。

内覧会時点(竣工引渡し間近)でもまだ2割弱(40戸強)売れ残っているそうです。

外観,配棟や住戸へのアプローチ形式(2戸に1台のELV)や「センターイン型」住戸配置はさすがスーパーゼネコンの設計部と感心する所が多々ありましたが,マンションで一番大事な住戸内の設計については苦言を呈したくなる所が多かったのです。

前回御説明した「外気吸気口」が床面にある事は埃が室内に舞い「住まい」の設計としての配慮に欠けています。

大きな配慮不足の箇所が更に数ヶ所ありました。今回は数箇所の1つでわかり易い箇所を皆様に御説明いたします。

それは,バルコニーに設置してあります「物干し金物」の選定ミスです。このマンションの
バルコニーの手摺壁は透明ガラスにサンドブラストでスリガラス状の模様を付けたものです。

この「物干し金物」は左右にアームが動くだけの廉価なものでした。最近のマンションの「物干し金物」は上下移動し,アームは左右に動かず斜め上向きに留まるか水平に留まる物がほとんどです。

問題はこの「物干し金物」のアームが左右に動くのは良いのですが回転角度が180度以上なので,アームを持ち上げて左右に振るとアームがガラスの手摺壁に当たってしまうのです。このアームはアルミダイキャスト製(アルミの鋳物)ですのでガラス手摺壁に当りますと「カーン」とかなりいい音が致します。

私は早速「この,物干し金物の選定はミスですね。違う物干し金物と交換ですね。」と言い「是正修正指摘事項」に書き込む様に同行のゼネコンの方に御願い致しました。

処が,同行のゼネコンの方は「物干し金物のアームが当たるガラスの手摺壁に『なみだ目』を貼り付けますから交換は致しません。」とその場で回答してきたのです。私は即座に「『なみだ目』は室内で使用するもので屋外では通常用いません。屋外では雨や風が当り,また紫外線や四季おりおりの温度変化に依って『なみだ目』自体が経年劣化し,更に接着力が早く弱くなり剥がれ落ちますので容認できません。」と申し上げました。

この『なみだ目』という物は透明の樹脂で半球型をしており大きさは直径3~6ミリ程度のものです。半球型の裏にセロハンテープの接着材程度の強度の接着剤が塗ってあるものです。

主に住戸内の収納扉が収納枠に当たる所や,トイレの吊り戸棚の扉を開けた時に両脇の壁に当たったりする場合,当たる場所(両脇の壁)に貼りショックを和らげるものです。

先程の回答は天下の超一流のゼネコンの方の回答とは思えませんでした。

その住戸の内覧チェックを終え1階ロビーで「是正修正指摘事項」の再確認を行い,そのゼネコンの売主部門の事業者の方に立ち会ってもらいました。先程の「物干し金物」の交換を申し上げましたら,よく三流ディベロッパーが言う常套句である「モデルルームと同じですから交換致しません。」との回答です。

私は「天下の超一流の○○建設さんの回答ですか?モデルルームが完成した時に検討会は行なわなかったのですか?」と質問致しました。

その方の回答は「碓井さんにその様な事を言う権利が有るのですか?」でした。その時内覧会同行の依頼者の方が「碓井さんに内覧会チェックをお願いしているのですから,その様な事を言うのは失礼です。」と言って私をかばってくれましたのが救いでした。私はこの超一流ゼネコンのこの「回答」は一生忘れません。

今後はこのゼネコン物件の「購入相談」「現地同行」や「内覧会同行チェック」では先程の「回答」を忘れず,購入予定者に入居後嫌な思いをさせない様,厳しいチェックを徹底的にするつもりです。

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