バルコニーの手摺壁の常識

先日,久々にかなり郊外のファミリーマンションのモデルルームを見学してびっくりしたお話を致します。

そのディベロッパーは以前,私が「設計コンサルタント」をしていた会社です。幹部の方から久々に電話が有り「碓井さん。ちょっと遠方だけどモデルルームを見てくれない…?」と頼まれ「了解です。」と言ってその会社の新規分譲のモデルルームを見てきました。

住戸プランは以前私がコンサルタントをしていた時に提案した「田の字型」プランを若干改良した,「女性重視型」の間取りでした。

更に,私がそのディベロッパーの「設計基準書」を改良した「新設計基準書」に基づいて,設計委託された設計事務所が新設計基準を遵守して設計していました。

処が,住戸内からバルコニーに出て「唖然」と致しました。
な,なんとバルコニーの手摺壁の形状が「横桟タイプ」だったのです。

具体的に申し上げますと,バルコニーの手摺壁となる位置にアルミの角棒が横に流れて設置されて,角棒と角棒の隙間が2センチも有りました。

この2センチの隙間は子供の足の指が入る幅です。よほど気を付けないと横桟が「ハシゴ」になり子供が「よじ登る」危険性が大です。下手をすれば子供が転落死に至ります。

私は直ぐにこのディベロッパーの技術のA氏に「この手摺壁の形状は危ないので,縦桟タイプかガラスに変更した方が良いですよ。もし子供がよじ登って転落死でもしたら親から訴えられますよ。」と言いました。

A氏は「忙しくて気が付きませんでした。ですがもうこれで工事の方が進んでいますので変更はできません。」と私に回答してきました。すかさず,私は「この手摺壁の横桟の手前に耐水ボードを貼ったらどうですか…?」と助言致しました。A氏は「早速,その方向で検討致します。」と私の助言を受け入れてくれました。

そして更に私は「マンションのバルコニー手摺壁の形状を横桟タイプにしたのは,設計事務所のミスですから手前にボードを貼る費用はペナルティーとして設計事務所に払わせるべきです。マンション設計のイロハですから…。」とA氏に伝えました。

これは,設計事務所にとっては酷な話ですが設計者はミスを犯してペナルティーを払わされますと,今後は設計の配慮不足は無くなります。

以前,私が在籍していた設計事務所も設計ミスを致しますと,ディベロッパーから改修工事費用をペナルティーとして払わされ,痛い思いをしてマンション設計事務所の大手になれました。

一昨年にそのディベロッパーの「設計基準書」を改良する時にこの件を記入しておくべきでしたので私も反省致しました。言い訳になりますが,マンションの手摺形状を横桟タイプにしない事は設計者の常識なので設計基準書に入れるまでも無い事だと私は判断してしまったのです。

最近の若いマンションの設計者はデザインを優先し,更に先輩連中も何も教えないので,この様な初歩的なミスを犯してしまうのだとつくづく思いました。

この様な設計者が設計したマンションは要注意ですので,モデルルームを見学した時はバルコニーの手摺形状をチェックして下さい。

PS:小生「日刊ゲンダイ」というタブロイド版の新聞に「買うなら知らなきゃ!マンションの必須チェックポイント」というコラムを毎週金曜日版の11面に連載する事になりました。掲載は今週の9月5日(金)からです。御覧戴ければ幸いです。

連載コラム

特集

もっと見る