「価格未定」表示はフェアーではない

今回は価格表示に関して一言申し上げたいと思います。私は新規分譲マンションの情報が入りますと,直ぐにその物件のホームページ(HP)を見ます。まず「物件概要」からチェック致します。立地,規模,構造と住戸面積,住戸間取りと価格を見て最後に売主名,設計者名と施工者名を確認致します。

最近,新規分譲マンションのHPの「物件概要」や「住戸タイプ図」を見ても価格は表示しておらずに「価格未定」表示になっています。更にひどいのになりますと竣工済みで「即入居可」の物件でも「価格未定」表示になっています。新聞の折込チラシでは99.9%「価格未定」になっています。

家電業界等でも最近,定価表示が無くなり「オープン価格」にしていますが,「オープン価格」と「価格未定」は大きく違います。

「オープン価格」とは価格の設定をメーカーが卸売業者,小売業者の裁量に任せた商品売価のことです。メーカーは出荷価格だけを設定し,卸売業者,小売業者が自社の利益をプラスした値付けを行っています。

この現象はディスカウントストア等により,いままで用いていた希望価格と実際価格の間に乖離が起きて消費者に価格に対する不信感を招いたからです。

しかし,マンションは大量生産品では有りません。個々の場所に建つのでそれぞれ「モノ」の内容が違いますし,卸売り業者や小売業者はいません。販売業者はおりますが価格の決定権はありません。

「オープン価格」も狙いは「価格未定」と似ています。購入者は商品カタログやHPを見ても「オープン価格」としか記載されていないために実際に店舗に行き値段を聞く必要があることです。

マンションの「価格未定」も同様です。現地販売事務所に行き「おおまかな価格」を聞き出さねば購入検討できないのです。集客の為の手口のひとつです。

マンションは購入者にとっては一世一代の高価な買い物です。新規分譲マンションのモデルルーム(MR)が公開されて,見に行っても正式な価格表は渡してくれないのです。正式価格は未だ検討中(価格未定)と言われ後日電話等で御知らせいたしますと言われたり,なかには鉛筆で手書きの予定価格表を渡してくれる非常識な会社も多々あります。

この「価格未定」表示の理由を御説明致します。現在,マンション業界は販売に非常に苦戦して「氷河期」と言われています。MRが完成したら一般公開はせずに売主や販売会社の「友の会」の会員に真っ先に宣伝し,来場させています。

そしてMRへ来た客(会員等)におおまかな「予定価格」を口頭で述べ反応を読みとって精査したり,来場率の良し悪しから千万円単位の「予定価格」を設定いたします。その後,一般客に宣伝をしてモデルルームに来てもらい商談を致し,「予定価格」が購入予定者の想定価格とかなり乖離していますと,また価格の再検討をして百万円単位の値付けを致します。

しかし,ファミリーマンション等を購入する客層は想定していた価格より4~5百万円高ければ手が出ない状況です。これらを考慮し再検討してやっと正式な価格表を印刷して来場者に渡します。ところが,契約率が悪いと今度は裏で値引きをしているのが実情です。

ですからオフィシャルには「価格未定」にしておくのです。いくら売れ行きが悪いからと言ってもこの価格提示の仕方は「フェアー」では無いと思います。

現在は超大手ディベロッパーから中小ディベロッパーまでなりふりかまわずにこの様にして売っています。正式な価格表の価格で購入した人を欺いた事になります。

これからマンション購入を考えている人は、最初から「値引きありき」で新築マンションも検討しなければ損だということになります。

しかし,購入者が海千山千の営業マンを相手にして,値引きを勝ち取るのは大変苦労致します。

購入者が安心してマンションの購入ができる透明性が高い市場環境になることを期待しています。

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