非良心的な「帖数表示」

今回は「唖然」としたお話をいたします。

昨年の12月初旬のこのコラム154号で新宿にある中堅のディベロッパーが販売図面集の住戸プラン内で「帖数表示」がとても良心的で誠実な計算をしている事を書きましたが覚えていらっしゃるでしょうか…。

154号のおさらいを致しますと,その中堅ディベロッパーの分譲マンションの販売図面集での「帖数表示」は顧客側に立った計算をして何帖と表示しているのです。具体的に申し上げますと,「田の字型」住戸で「縦長リビング」や「横長リビング」のリビング・ダイニングルームの「帖数」が廊下状の部分を含まないで切り捨てて表示されているのです。
本当にリビング・ダイニングとして使える長方形のスペースのみの「帖数表示」になっているのでした。とても誠実さを感じました。

私も30年以上分譲マンションの設計にかかわってきて,初めてこんな良心的で誠実な会社が有る事に感激致しました。

処が,先日超大手ディベロッパーの物件資料の販売図面集を見ていて「唖然」と致しました。

その物件は「アウトフレーム逆梁」構造の物件でリビング・ダイニングがアウトフレームの柱の先端面(外壁面)まで有りその脇がベイバルコニー(湾の様に外壁から凹んでいるバルコニー)付きの洋室になっていました。

私が「唖然」としましたのはリビング・ダイニングの腰窓の下に逆梁(大梁)が部屋内に出っ張っていましてその出っ張り部分も「帖数表示」に加算されていたのです。

何か「帖数表示」が変だと思い,リビング・ダイニングの帖数計算を致しましたら,その出っ張った逆梁部分も帖数に含まれていたのには驚き椅子からずり落ちそうになりました。

リビング・ダイニングの腰窓下,床から70センチ位の高さまでが部屋内側に40センチ強逆梁(大梁)が張り出していてそれも帖数に含んでいたのです。

違法ではありませんが,腰窓が付いている壁の芯で帖数計算をし「帖数表示」をして実際には使えないスペースを加算して広い帖数を記入していたのです。

腰窓が付いている腰壁すぐ下に逆梁が出っ張っていますので,良心的な売主であれば「出窓」扱いにして部屋の帖数には含まない「帖数表示」を誠実に行なっています。

そして私はそのリビング・ダイニングの実際使えるスペースを計算致しました。腰壁部分が逆梁で出っ張った部分は約0.8帖でした。その分減りました。

更にリビング・ダイニングの廊下状の部分の面積を計算致しましたら約1.2帖有りました。
このリビング・ダイニングルームの「帖数表示」は12.7帖でしたから,実際に長方形のスペースとして使えるのは約10.7帖(12.7帖-0.8帖-1.2帖=10.7帖)でした。

この誠実の無さには驚き「唖然」と致しました。

更にこの売主は以前このコラムで書きましたが「設計基準書」を改正して「中和室」「中洋室」のエアコン設置可能の項目を削除しました。このコラム140号「設計基準書の改悪」を御覧下さい。この点でもこの売主の誠実さが欠如しているのがうかがわれました。

この物件の売主である,超大手ディベロッパーはマンション業界のフラッグシップ的存在の会社です。

そして,マンション業界の事業者のほとんどの会社がこの会社を見習って商品企画をしているのですからこの様な姑息な事は直ぐに止めて欲しいと思います。

この売主に申し上げます。「違法」ではないのだから避難される覚えは無い等と言い訳をしてこの件を見直さずに修正しませんと,どんどん顧客から信用を無くしていくのではないでしょうか…。

「ブランド」力が強くそれで売れていたのでだんだん誠実さを無くしてしまったのではないでしょうか…?

誠実な中堅ディベロッパーよりも非良心的な事をしていたのを目の当たりに見て,最近この会社の物件の完成在庫が多いのも納得できました。

初心に戻って,以前分譲していた様な顧客の立場に立ったマンションを作り,昔の栄光を取り戻してくださる事を切に願います。

再度,申し上げます。
「誠実に勝る近道無し」(158号参照)です。

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