超高層マンションでの注意点-2

前回は超高層マンションの設計者の感覚に疑問を感じた2物件の内の1物件のお話をしました。

今回はもう1物件のお話を致しましょう。

先日「内覧会」同行チェックで見ました「外観」と「住戸プラン」の調整がされていない呆れた納まりです。

超高層マンションは私も過去に設計した経験が有りますので,今回見ました超高層マンションの設計者の感覚には驚きました。

前回も申し上げました様に塔状の超高層マンションの設計は「構造計画」から始めます。
そして「平面計画」より先に「外観計画」を行います。「外観計画」は主に窓やバルコニーの形状・位置を決めます。今回はこの窓の形状に問題有りでした。

具体的に申し上げますと,今回の「内覧会」同行チェック住戸は角住戸で南側壁面の外にはバルコニーが有りましたが,東側壁面の外にはバルコニが無く転落防止の為に開閉できない大きな「嵌め殺し窓」が数ヶ所に設置されていました。

問題はこの窓です。この窓は「腰窓」で床から高さ60センチ位の位置から天井付近まである大きな窓で幅も1.8メートル強位でした。

この窓が台所にも有ったのです。台所は通常のカウンターキッチンスタイルです。処が流し台の平面形状が「L字型」になっているのです。

「L字型」カウンターの一片はリビング・ダイニング側に向いており,シンクとコンロと食洗機が設置されていました。

処がもう一片のカウンターは先程申し上げた窓に向いていたのです。そしてカウンターの下は収納では無く,プラスターボードにビニールクロスを貼ってデッドスペースになっていました。

この程度のコストダウンは良く有る事ですので我慢できますが,この窓に向いたカウンターの先の下方には窓のカーテンボックス状のスペースが有ったのです。

流し台のカウンター高さは85センチで先程の「腰窓」の腰壁の高さは60センチです。
流し台のカウンターより窓の下端が約25センチも下がっているのです。ですので当然窓の下方にもカーテンボックス状のスペースが必要だったのです。

更に驚いたのはこの窓側のカウンターの先端に食材等が下方のカーテンボックス状のスペースに落下しない様な対策が施してありませんでした。当然,カウンターと同じ材質の人造大理石で高さ10センチくらいの立ち上がりを設置すべきです。

「内覧会」チェックの途中で同行して下さったゼネコンの方に設計事務所の方をこの住戸に来てもらう様に頼みました。

数分後にこの物件の設計・監理をされた方が来られました。
私はその方に「この住戸の台所の設計は配慮不足ですね。流し台のカウンター面より下に窓が有るマンションなんて私は初めて見ました。」と申し上げました。

その設計者は無言で何も回答しませんでしたので,私は「設計ミスですね?L字型カウンターを止めてリビング・ダイニング側はI字型カウンターにして高さは現在の85センチにし,窓側のカウンターもI字型にして高さを腰窓の下端より少し下げたらどうですか?」と申し上げました。そうしましたら「これで良いのです。」と回答されたのには驚きました。

すかさず私は100歩譲って「それなら窓側のカウンターの先端に食材が落ちない様に立ち上がりを設けたらどうですか?」と言いましたら,その設計者はまた「これで良いのです。」と答えました。

私に「内覧会」同行チェックを依頼された奥様は「流し台の形状がこの様になる説明は受けていません。こんなカウンターにジャガイモを置いたら転がって窓側に落ちてしまいますから嫌です。」と興奮してその設計者に抗議していました。その設計者はまた無言でした。

「内覧会」同行チェック後に売主に抗議致しましたが,回答は「検討します。」の一点張りで「改善します。」の言葉は一度も出ませんでした。

この物件の設計事務所は日本で5本の指に数えられる有名な設計事務所です。同業者の恥ですから設計事務所の名前は公表致しませんが超大手設計事務所です。この超大手設計事務所は分譲マンションの設計はほとんど行なっていません。事務所ビルの設計が秀逸です。

分譲マンションの設計は俗に「経験工学」と言われています様に,多くの経験が大切です。

この分譲マンションを購入された方が入居後,不便な生活をされない様な改善工事を期待致します。 

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