戸境壁が「乾式工法」には問題あり-2

今回は前回の続きで住戸の隣戸間の戸境壁の問題点のお話を致しましょう。

最近特に増えたのが,住戸と住戸の間の戸境壁(こざかいかべ)の仕様が「湿式工法」の鉄筋コンクリート造でなく,ボードを貼った「乾式工法」を採用している事で遮音性に難有りです。

「乾式工法」の戸境壁の二通りの仕様を前回後説明しましたが今回はそれよりももっと遮音性が良くなる工法を分り易く御説明致します。

前回御説明致しました二番目の工法の片側の住戸の戸境壁下地の軽量鉄骨間柱と,隣戸側住戸の戸境壁下地の軽量鉄骨間柱を「チドリ状」にして離して立て,各々の住戸側の間柱に厚いボードを二重に貼り,ボードとボードの間に上から見たら波形にグラスウールを充填する工法です。軽量鉄骨の間柱が隣戸の間柱と離れているのでボードの振動は直接伝わらない所までは同じ工法です。

しかし,前回もお話いたしましたが,この工法でも片側の住戸の寝室の隣に隣戸の浴室が有ると遮音性は期待できません。

そこで,今回はこの工法で更に遮音性を高める工法を御説明致します。

先程の工法で二重貼りのボードの材質を変えるのです。

使用するボードは鉛板をサンドイッチ状にはさんである厚いボードで,更にそれを二重貼りにします。二重貼りする時に一重目の鉛板入りボードと鉛板入りボードの継ぎ目が二重目の鉛板入りボードの幅の中央に来る様に二重目の鉛板入りボードを貼るのがミソです。このやりかたで両側の住戸の戸境壁を作るとかなり遮音性はアップします。

ボードを二重貼りする時は1枚目と2枚目の継ぎ目の場所が同じですとそこから音がもれます。

やはり,遮音性を高めるには少しでも乾式工法の壁の重量を少しでも重くする事です。遮音性は重量に比例して高くなります。

このボードの種類と貼り方で遮音性はかなり向上します。

しかし,この遮音性の高い鉛入りのボードを採用して戸境壁にしている物件は皆無に等しいのです。やはりコストがかかるから遮音性能は二の次です。

戸境壁が「乾式工法」のマンションのパンフレットで良心的な説明にはD値(遮音等級。数値が大きいほど遮音性能が高い)55とか書いて有ります。しかし私の経験では設計時点でD値55の仕様にしても竣工時に測ると2ランク落ちてD値45位になってしまいます。

先程の鉛板をサンドイッチして有るボードを採用すれば設計時点のD値は60近くなりますが竣工時に測るとD値55位になり隣戸の音を気にせずに生活できます。

余談ですが,先日私の所にある方からメールがきまして「乾式工法の戸境壁は日曜大工の工具で簡単に壊せるので隣戸に入った泥棒が戸境壁のボードを壊して更にその隣の住戸に入れますよ。また簡単に盗聴器をしかけたり,ピンホールの監視カメラを設置できる事を警鐘して下さい。」と書いてありました。

やはり,マンションの戸境壁には「乾式工法」はなるべく採用しない方が良いですね。

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